国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が進める「バイオジェット燃料生産技術開発事業」で助成先の㈱ユーグレナは、同事業で製造したバイオジェット燃料を国土交通省航空局の飛行検査機に提供し、東京国際空港(羽田空港)から中部国際空港まで飛行して飛行検査業務を行った。この燃料は微細藻類由来の油脂と使用済み食用油(廃食油)から製造され、4月にバイオジェット燃料の国際規格である「ASTM D7566」の適合試験に合格したもの。
NEDOは2030年ごろのバイオジェット燃料商用化を目指し、今後も生産技術の拡張や製造コスト低減などの課題解決に取り組む。この取組によりバイオジェット燃料の普及に道筋をつけ、航空分野における温室効果ガスの排出量削減に貢献する。
NEDOはバイオジェット燃料の原料調達から航空機への搭載までを手がけるサプライチェーンの構築と、2030年ごろの商用化を視野に、2017年度から「バイオジェット燃料生産技術開発事業」を進めている。
㈱ユーグレナはこのうちの1テーマとして「油脂系プロセスによるバイオジェット燃料商業サプライチェーンの構築と製造原価低減」に昨年度から取り組んでいる。横浜市に建設したバイオ燃料製造実証プラントで、原料に微細藻類のユーグレナ(和名:ミドリムシ)由来の油脂と使用済み食用油(廃食油)を使用し、Chevron Lummus GlobalとApplied Research Associates(いずれも米国)が共同開発したバイオ燃料アイソコンバージョンプロセス技術(BICプロセス)を採用した燃料製造の実証試験を行っている。
この燃料はバイオジェット燃料の国際規格「ASTM D7566 Annex6」の適合検査に合格し、さらにこれを既存の石油系ジェット燃料と混合したものも同規格に合格した。検査等の合格を受け、㈱ユーグレナは6月4日、この燃料を国土交通省航空局の飛行検査機に提供し、同機が飛行検査業務のため東京国際空港(羽田空港)から中部国際空港までのフライトを行った。
NEDOは今後もバイオジェット燃料の利用促進・普及を通じ、2030年以降に掲げる航空分野における温室効果ガス排出量のさらなる削減を目指す構えだ。