新型コロナウイルスの感染拡大を受け、特例が認められているオンライン診療について、対応可能な医療機関の数が伸びていないことが分かった。政府は現行の特例措置を恒久化したい方針だが、対面と比べて低い診療報酬などが医療機関側に二の足を踏ませていると考えられている。
厚生労働省が5月31日の有識者検討会で示したデータによると、電話や情報通信機器を使った診療が行えると登録された医療機関は、今年4月末時点で1万6843施設。これは、全医療機関数(11万898施設)の15.2%にあたる。さらに、この中で初診からオンライン診療が実施できるとしたのは7156施設。これは全体の6.5%にあたる施設数だ。
1年間の推移をみると、特例が施行された昨年の4月から昨年の5月にかけて、対応する医療機関は9.7%から13.7%へと大幅に増加。ただ、そこから増加は伸び悩み、昨年10月末に15%を突破してからは、ほぼ横ばいが続いていた。
登録した医療機関の数は、都道府県別でも格差がみられた。具体的には、今年4月末時点で自治体内に占める登録機関の割合が山形県や長野県、高知県では30%前後だったのに対し、三重県や京都府、大阪府、岡山県、山口県、沖縄県では10%を割り込んでいた。
■ 規制改革も恒久化を明記
こうしたオンライン診療の状況について、政府の規制改革推進会議は6月1日にまとめた答申の中に、特例措置の恒久化などに関する骨格を今夏めどにまとめるというスケジュールを盛り込んだ。その後、診療報酬上の取扱いも含めて実施に向けた取組を進めることも明記。安全性と信頼性をベースとし、時限的措置において明らかとなった課題や患者の利便性等を踏まえ、恒久化の内容について、具体的なエビデンスに基づき、検討を進めることも付記した。