2021年6月10日 【横浜市大病院】高齢者福祉施設のクラスター対策で包括支援

横浜市立大学附属病院は、新型コロナウイルス感染症の専門家チームを構成し、地域の高齢者福祉施設(特別養護老人ホーム等)を主な対象として、依頼を受けた施設に赴いてクラスター対策の包括的な支援を行う取組みを行う。実施期間は10月末まで。

この専門家チーム(YCU‐CRAFT)は、横浜市大附属病院感染制御部、同放射線部、同救急科などに所属する複数の医師、医療スタッフで構成。

同チームは横浜市社会福祉協議会高齢福祉部会と連携しつつ、所属する特別養護老人ホーム等で新型コロナウイルスのクラスターが発生した場合、現地に赴き感染対策の助言、CT搭載車(CT検診車)による新型コロナウイルス肺炎等の画像診断の提供を行う。

さらに、それらを踏まえた総合的な重症度判定・搬送調整の援助などを通して、施設の嘱託医・医療スタッフを援護し、感染者や施設の状況をより正確に把握するための支援を実施する=イメージ図=。

この取組で使用するCT搭載車は、公益財団法人日本財団の支援により横浜市立大附属病院が運用する。

新型コロナウイルスはワクチン接種が全国的に進んでいるものの、未だ全国的には新規の感染者が多数報告されており、高齢者施設での集団発生(クラスター)も少なくない。

一旦高齢者施設でクラスターが発生した場合、医療機関ではない高齢者施設では健康観察の手段が限られており、施設内での重症度の判定ができない、経過中に新型コロナウイルス肺炎が重症化しても正確に診断する手段がないため医療機関への搬送が遅れる、などの事例が多く見受けられる。

高齢者施設では、特にクラスターが大規模な場合には、感染した入所者全員を医療機関に搬送・入院させることが難しく、施設内での療養が選択されることも少なくない。

その場合には施設内で感染拡大を防ぎつつ、感染した入所者の重症度判定を繰り返し行うなどの高度な医療的ケアが必要になり、高齢者施設の限られたスタッフ、医療提供体制では十分な対策を講じることは非常に困難。

横浜市大附属病院では、令和2年春の新型コロナウイルスの第1波の流行以降、さまざまな部署が一丸となって、未曾有のパンデミックとなった新型コロナウイルス感染症に対処してきた。

大学病院として培ってきた、新型コロナウイルス感染症に対する〝知〟を地域社会に還元すべく、今回専門家チーム「YCU‐CRAFT」を結成。主に高齢者施設で発生したクラスターに対して、施設の依頼を受けてさまざまな支援を行う準備を整えた。

具体的な支援の内容としては、施設の嘱託医の先生や看護師等医療スタッフと連携して、感染対策(ゾーニング、職員教育等)を行うとともに、CT搭載車を用いた現地での新型コロナウイルス肺炎やその他基礎疾患の画像診断(出張型のCT診断)、重症度判定や搬送調整の助言等を実施する。

 


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