ここ数年、気候変更に伴う水害や土砂災害の激甚化、頻発化により学校で甚大な被害が発生していることから、文部科学省では、全国の公立学校を対象に、浸水想定区域、土砂災害警戒区域に立地し、要配慮者施設として位置付けられた学校の数や、対策の実施状況について、初めて調査を行った。
今回の調査により、令和2年10月現在で、全国の調査対象校3万7374校のうち7476校と、全学校の約20%が浸水想定地域に、11.2%の4192校が土砂災害警戒区域に立地。市町村地域防災計画で、要配慮利用施設として位置付けられている。
これらの学校は、水防法や土砂災害防止法で、避難確保計画の策定や避難訓練の実施が義務付けられているが、実施状況は7割から8割程度に留まっている。また、ハード面の対策については、法律による義務付けなどはないが、学校施設内や受変電施設設備の浸水対策を実施している学校は約15%と2割に満たない。
文科省としては、水害や土砂災害時での児童生徒の安全を確保するため、都道府県教育委員会等に通知を発出しており、避難確保計画の作成や、計画に基づく避難訓練を実施していない学校に対して、今年度中に速やかに実施するよう要請している。
また、各学校や学校設置者等に対し、学校の危機管理マニュアルの評価見直しガイドラインや、学校施設の水害、土砂災害対策事例集を周知し、ソフト、ハード両面から適切に対策が講じられるよう引き続き支援をすることとしている。