5月25日に「令和2年度 食料・農業・農村白書」が閣議決定された。今回の白書では、世界の経済・社会に大きな影響を及ぼしている「新型コロナウイルス感染症による影響と対応」を特集として掲載するなど、農業関係者以外にも広くわが国の食料・農業・農村について理解してもらえるような内容となっている。
「食料・農業・農村白書」は、食料・農業・農村基本法に基づき、政府が毎年国会に報告しているもの。
「令和2年度 食料・農業・農村白書」では、「令和2年度 食料・農業・農村の動向」と「令和3年度 食料・農業・農村施策」をとりまとめている。
また、「令和2年度 食料・農業・農村の動向」では、トピックスとして、「農林水産物・食品の輸出の新たな戦略」、「みどりの食料システム戦略~食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現~」、「令和元(2019)年度スマート農業実証プロジェクト」、「農業・食関連産業でのデジタル変革の推進」、「鳥インフルエンザ、豚熱への対応」、「植物新品種の海外流出対策」、「フードテックの現状」の7つのテーマを取り上げている。
さらに、特集として「新型コロナウイルス感染症による影響と対応」を取り上げており、新型コロナウイルス感染症の拡大による食料消費面や農業生産・販売面での影響と新たな動き、地方への関心や働き方、交流に関する新たな動き等について記述している。
次に、4章構成で食料、農業、農村、災害対応等の動きが整理されている。
第1章「食料の安定供給の確保」では、▽食料自給率と食料自給力 ▽食料消費の動向 ▽新たな価値の創出による需要の開拓 ▽グローバルマーケットの戦略的な開拓 ▽消費者と食・農とのつながりの深化 ▽食育の推進 ▽国際的な動向等に対応した食品の安全確保と消費者の信頼の確保 ▽動植物防疫措置の強化 ▽食料供給のリスクを見据えた総合的な食料安全保障の確立 ▽国際交渉への対応 ― について動向が整理されている。
第2章「農業の持続的な発展」では、▽農業総産出額と生産農業所得等の動向 ▽力強く持続可能な農業構造の実現に向けた担い手の育成・確保 ▽農業現場を支える多様な人材や主体の活躍 ▽担い手等への農地集積・集約化と農地の確保 ▽農業経営の安定化に向けた取組の推進 ▽農業の成長産業化や国土強靭化に資する農業生産基盤整備 ▽需要構造等の変化に対応した生産基盤の強化と流通・加工構造の合理化 ▽情報通信技術等の活用による農業生産・流通現場のイノベーションの促進 ▽気候変動への対応等の環境政策の推進 ▽農業を支える農業関連団体 ― といった動きが取り上げられている。
第3章「農村の振興」では、▽田園回帰の動向 ▽地域の特性を活かした複合経営等の多様な農業経営等の推進 ▽農泊、農福連携、再生可能エネルギー等の農村発イノベーションの推進 ▽中山間地域を始めとする農村に人が住み続けるための条件整備 ▽鳥獣被害対策とジビエ利活用の推進 ▽農村を支える新たな動きや活力の創出 ― について整理されている。
第4章「災害からの復旧・復興や防災・減災、国土強靭化等」では、▽東日本大震災からの復旧・復興 ▽大規模災害からの復旧 ▽令和2年度の自然災害からの復旧 ▽防災・減災、国土強靭化と大規模自然災害への備え ― といった動きがとりまとめられている。