2021年5月21日 【横浜市大】ワクチン接種者の9割が変異株への抗体保有

世界的にみると遅れてはいるが、徐々に国内でも接種が進んできた新型コロナウイルスワクチン。横浜国立大学の研究チームによると、接種者の約9割が、従来株のほかにも、新型コロナウイルスのさまざまな変異株に対する中和抗体を保有していることが明らかとなった。同大独自の迅速抗体測定システム「hiVNT新型コロナ変異数パネル」を用いて、複数の変異数に対する中和抗体を調べた。現在進められているワクチン接種者にとっては、重要な基礎データとなる。

この研究を行ったのは、同大学術院医学群の山中竹春教授、附属病院の加藤英明感染制御部長ら。日本人ワクチン接種者111名(未感染105名、既感染6名)を対象に、ファイザー製ワクチンの有効性について、中和抗体の保有率という観点から調査した。調査には、同大独自の迅速抗体測定システム「hiVNT新型コロナ変異数パネル」を活用。従来株と変異株7種の計8株に対する中和抗体を調べた。

未感染者で2回ワクチンを接種した人のうち、99%が従来株に対する中和抗体を保有していた。流行中のN501Y変異を有する三つのウイルス株(英国、南アフリカ、ブラジルで初めて確認された株)に対しても、90~94%の人が中和抗体を有していた。

従来・変異全8株すべてに中和抗体陽性であった人は、全体の9割にのぼった。また、中和抗体の上がり方については、個人差がみられたという。特に1回接種のみでは、変異株に対して中和抗体が産生されない人が一定程度存在した。

今後、変異株のさらなる出現も予想されるため、新たな変異株が登場した場合、変異株に対する中和抗体保有の状況を集団レベルで速やかに調べ、既存のワクチンの有効性を評価できる手段が求められる。

同大が開発した「hiVNT新型コロナ変異数パネル」のような複数の変異株を取り揃えて、それらに対する中和抗体を一括して短時間で評価し、集団・個人レベルで免疫能獲得の詳細を明らかにすることは、ワクチン普及後の社会活動を回復させる後押しになるものと期待される。

研究グループでは、今回使用した「hiVNT新型コロナ変異数パネル」を社会実装につなげられるよう、さらなるデータの蓄積に努めることとしている。


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