産業技術総合研究所は、読売巨人軍(ジャイアンツ)や東京ドームと連携して、東京ドーム内にカメラ、レーダー等を設置し、入場者間の平均距離、マスクの着用の有無、応援方法などの行動、ロッカーなどでの選手・スタッフの社会的距離を把握、また、東京ドームに設置するCO2濃度計測器のデータを活用し、東京ドーム内のCO2濃度の変化などを評価することで、東京ドームが実施している対策の効果を評価している。
産総研が蓄積してきた知識をもとに、東京ドームで継続的に計測を実施することで、「東京ドームのどこで人の滞留が発生し、どのように行動しているか」「東京ドーム内の各場所での密接、密集、密閉とどのように関係するか」といったことを分析するとともに、観客のマスク着用率の時系列変化など、東京ドームが実施している対策の効果を把握している。
さらに、継続的に調査を実施することで、試合展開や観客数、開催日、さらに気温や湿度等に応じた密状態や観客行動の違いを把握することが可能となる。
新型コロナウイルス感染による影響が続くなか、安全にイベントなどを開催するために、さまざまな取り組みが続けられている。特に東京ドームのような大規模施設でのイベントには、一度に多くの観客が集まることから入場者数、マスク着用の有無、入退場時の人の滞留の程度、応援方法の違いなどが感染予防の効果に影響する。
これらの対策が適切な効果を発揮するためには、例えば、人の滞留が生じていないか、マスクが着用されているか対策の実施状況把握が重要だが、人の目では人の滞留の程度やマスク着用率などを定量的に把握することは困難。
これまで、産総研では、さまざまなプロスポーツの球場、スタジアム、アリーナなどで、観客・選手やスタッフの感染予防のための調査を進めてきた。これらの結果から、東京ドーム内の密状態を把握できるようになれば、今後、より安全に大規模イベントを開催するための指針づくりに協力できるとしている。