東京商工リサーチは30日、PCR検査や抗原検査などの遺伝子検査を展開する民間の検査会社が、今年3月までの1年間で1.68倍に増加したという調査結果を公表した。コロナ禍での検査ニーズの上昇が背景にあるとされている。
厚生労働省によると、4月25日現在でPCR検査を行った人数は延べ1082万人に到達。そのうち58.1%を民間の検査会社が担っていた。
コロナ禍になる前をみると、昨年3月の検査関連企業は82社。この時点で前年からの増減はなかった。内容は大半が医療やダイエット、臨床分析など「遺伝子検査」や「DNA検査」が中心となっている。
一方、新型コロナウイルスの感染拡大が一段と厳しくなった昨年9月には、関連企業が101社に急増し、今年3月には138社へ達した。2020年の3月まで「PCR検査」に関する企業情報は確認されなかったが、増加した企業の情報では「PCR検査」や「抗原・抗体検査」などが目立つ傾向にあった。
全138社の設立年をみると、2000年以前は20社で14.4%。一方、2020年は1年間のみで20社(構成比14.4%)が、2021年も3ヵ月で10社(同7.2%)が設立されるなど、有力市場を狙った新規参入が後を絶たない状況がみてとれる。
新型コロナウイルスへの感染を恐れる人が増えるにつれて、ノウハウの乏しい企業が検査を行ったり、高齢者に格安のPCR検査を謳った手紙が届いたりするなど、消費者トラブルの懸念も増加。このため厚労省は、自費検査を提供する検査機関を公表している。
東京商工リサーチは、「大型連休(GW)を前に3度目の緊急事態宣言が発令され、感染拡大防止でも検査関連企業の重要性が増している。コロナ禍の収束まで、しばらく検査関連企業の新規参入は続くだろう」とみている。