2021年4月30日 「食育に関する意識調査」を公表 コロナ禍での食生活の変化 農水省

農林水産省は、食育に対する国民の意識を把握するために昨年12月に実施した「食育に関する意識調査」の結果をとりまとめて公表した。

今回の調査では、「新型コロナウイルス感染症の拡大前と比べて食生活が変化したか」について聞かれたが、「増えた・広がった」と回答した人の割合が最も高かったのは「自宅で食事を食べる回数」で、次いで「自宅で料理を作る回数」などの変化が見られた。

また、若い世代では、「自宅で食事を食べる回数」、「自宅で料理を作る回数」、「家族と食事を食べる回数」、「通販(オンライン)を利用した食品購入」、「食に関する情報の入手」、「おいしさや楽しさなど食を通じた精神的な豊かさ」、「オンラインを利用して家族や友人と食事を共にすること」等について「増えた・広がった」と回答した割合が高くなった。

この調査は、食育に対する現在の国民の意識を把握し、今後の食育推進施策の参考とすることを目的としたもの。昨年12月3日から23日にかけ、全国の20歳以上の者5000人の「食育への関心」、「現在の食生活」、「共食の状況」、「生活習慣病の予防や改善に関する実践状況」、「食文化」、「農林漁業体験」、「環境への配慮や産地・生産者を意識すること」、「食品の安全性」、「新型コロナウイルス感染症と食生活」、「食事バランスガイド」、「日本型食生活」についての意識等が調べられたが、有効回収数は2395人(47.9%)だった。

 

― 調査結果のポイント ―

食育への関心度について、「関心がある」人の割合は83.2%だった。今後1年間食育として実践したいことについては、「栄養バランスのとれた食生活を実践したい」をあげた人の割合が最も高くなっている。

健全な食生活を実践することを「心掛けている」人の割合は75.7%で、「主食・主菜・副菜を3つそろえて食べることが1日に2回以上ある」が「ほぼ毎日」の人の割合は36.4%となっている。ふだん朝食を「ほとんど毎日食べる」人の割合は81.3%で、性・年齢別にみると男性の20歳代では低く、59.7%となっている。

普段の食事について、「ほとんどのものを食材から調理して、食事を準備している」人の割合は29.5%だった。食に関する情報源としては、「テレビ」をあげた人の割合が最も高くなっている。

家族と同居している人が、家族と一緒に食べる頻度について、朝食は「ほとんど毎日」の人の割合が49.7%であるのに対し、夕食は「ほとんど毎日」の人の割合が67.7%で、夕食の方が一緒に食べる割合が高くなっている。

新型コロナウイルス感染症の感染防止対策が十分にとられているという前提で、地域や所属コミュニティ(職場等を含む)での食事会等の機会があれば「参加したい」と思う人の割合は30.8%であり、そのうち、過去1年間の参加経験について、「参加した」人の割合は70.7%だった。

生活習慣病の予防や改善のために、ふだんから適正体重の維持や減塩などに気をつけた食生活を「実践している」人の割合は64.3%であり、若い世代では実践していない人が多かった。ふだんゆっくりよく噛んで食べているかどうかについては、「ゆっくりよく噛んで食べている」人の割合が47.3%となっている。

郷土料理や伝統料理など、地域や家庭で受け継がれてきた料理や味、食べ方・作法などの食文化を受け継ぐことは「大切だと思う」人の割合は87.5%だった。食文化を「受け継いでいる」人の割合は65.9%で、うち地域や次世代に「伝えている」人の割合は76.4%だった。

生まれ育った地域の郷土料理や伝統料理について知っているか聞いたところ、「知っている」人の割合は57.0%だった。また、いわゆる郷土料理や伝統料理(自身の生まれ育った地域や現在住んでいる地域に限定せず、旅先や外食先など日本全国の郷土料理や伝統料理を含む)を「月に1回以上」食べている人の割合は44.6%だった。

家族の中で農林漁業体験に参加した人が「いる」人の割合は65.7%だった。参加した農林漁業体験の取組としては、「実家、親戚、知人の手伝い」をあげた人の割合が最も高く、農林漁業体験に参加して変化したこととして、「自然の恩恵や生産者への感謝を感じられるようになった」をあげた人の割合が最も高かった。家族の中で農林漁業体験に参加した人が「いない」人に、どのような工夫があれば参加したいと思うか聞いたところ、「親子や友人など、いろいろな参加の仕方ができること」をあげた人の割合が最も高かった。

環境に配慮した農林水産物・食品を選んでいるか聞いたところ、「選んでいる」人の割合は67.1%だった。「選んでいる」人に、どのようなものを選んでいるか聞いたところ、「近隣の地域で生産・加工されたもの」をあげた人の割合が73.7%で最も高かった。

産地や生産者を意識した農林水産物・食品を「選んでいる」人の割合は73.5%だった。

購入した食品を食べないまま、捨ててしまうことがあるかについて、「ある」人の割合は40.8%だった。その理由としては、「消費・賞味期限内に食べられなかった」をあげた人の割合が75.1%と最も高かった。

安全な食生活を送ることについて、「あてはまる(意識し、判断している)」人の割合が最も高かった項目は「生の状態(生食用として販売されているものは除く)や加熱が不十分な状態で肉を食べないこと」で、回答割合は93.9%だった。食品の安全性に関する基礎的な知識が「あると思う」人の割合は69.6%、安全な食生活を送ることについて「判断している」人の割合は75.2%だった。

新型コロナウイルス感染症の拡大前に比べて食生活が変化したかを聞いたところ、35.5%が「自宅で食事を食べる回数」、26.5%が「自宅で料理を作る回数」が「増えた・広がった」と回答している。

「食事バランスガイド」を「認知している」人の割合は62.3%だった。「食事バランスガイド」を「内容を含めて知っている」人のうち、「参考にしている」と回答した人の割合は88.5%だった。

「日本型食生活」を「認知している」人の割合は58.5%で、「実践している」人の割合は68.7%だった。食生活のうち、ごはんを「1日1食以上」食べている人の割合は94.0%だった。


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