2021年4月27日 出勤手当の見直し等 消防団員の処遇等で検討会が中間報告

消防庁では、消防団員数が減少していることや、災害が多発化・激甚化する中、消防団員の負担が増加していることを踏まえ、消防団員数を確保することを目的とした「消防団員の処遇等に関する検討会」(座長:室﨑益輝兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科長)を開催し、検討を行ってきたところで、このほど、消防団員の適切な処遇の在り方に関する検討の結果を中間報告として取りまとめた。また、この報告書を踏まえ、都道府県知事と指定都市市長に対し、消防庁長官から消防団員の報酬等の基準の策定等について通知した。

中間報告では、消防団の現状について、令和2年4月1日時点の消防団員数は81万8478人と2年連続で1万人以上減少する危機的状況(特に20代の消防団入団者数が10年間で約4割減少)であることを指摘。その一方で、災害が多発化・激甚化する中、消防団員の役割も多様化しており、一人ひとりの消防団員の負担も大きくなっていること、こうした消防団員の労苦に報いるため、消防団員の処遇改善が不可欠と考えられることなどをあげた。

こうした現状を踏まえ、出勤手当について、出勤に応じた報酬制度(「出動」報酬)を創設すること、出動に関する費用弁済(実費)について、別途必要額を措置することを提言。また、災害(火災・風水害等)に関する出勤報酬は、1日=7時間45分を基本とし、予備自衛官等の他の類似制度を踏まえ、7000円~8000円程度の額を、標準的な額とすること等を求めた。

年額報酬については、即応態勢を取るために必要な作業や、消防団員という身分を持つことに伴う日常的な活動に対する報酬として、出動報酬の創設後も引き続き支給すべきとの考えを示した。また、金額は、「団員」階級の者は年額3万6500円を標準的な額とし、「団員」より上位の階級にある者等は、市町村等で、業務の負荷や職責等を勘案して均衡の取れた額となるよう定めることとしている。

消防団の運営に必要な経費については、本来団員個人に直接支給すべき経費(年額報酬や出動報酬等)と、消防団や分団の運営に必要な経費(装備や被服に係る経費、維持管理費、入団促進や広報に係る経費等)は適切に区別し、それぞれを市町村で適切に予算措置すべきとしている。

市町村における対応については、前記を踏まえ、市町村で消防団と協議した上で、十分な検討を行い、必要な条例改正や予算措置の実施を求めた。

国や都道府県での対応については、国は、出動報酬や年額報酬の標準的な額やその支給方法等の基準を定めるとともに、前記について市町村に対し助言を行うこと、また、国は財政措置のあり方について、財政需要の実態を踏まえ十分な検討を行うことを提言。都道府県でも、市町村に対し必要な助言等の支援を行うよう求めた。

報酬等に関する議論は、中間報告を持って結論とし、国・都道府県・市町村は早急に消防団員の報酬等の改善に向けた取組を進めるよう提言。また、消防団員の確保のためには、報酬等の改善のほか、社会的評価の向上や広報、訓練のあり方など、他にも取り組むべき重要な課題があるため、検討会でこれらの項目について引き続き精力的に検討することとしている。


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