阿蘇の世界遺産登録実現に向け、熊本県の蒲島郁夫知事と阿蘇市の佐藤義興市長ら阿蘇世界文化遺産登録推進協議会が、4月20日に文部科学省を訪れ、萩生田文部科学大臣と都倉文化庁長官にそれぞれ要望書を提出した。
阿蘇は、約27万年前から9万年前にかけて4回の大噴火により世界最大級の規模を誇るカルデラが形成された。カルデラ周囲の距離は約128㎞にも及び、火口原に5万人もの人々が生活する世界に類例のない地域。現在も活発に活動を続ける中岳は、古くから信仰の対象として崇め、人々も巧みにこの地を開拓し、火山とともに共存してきた。
また、阿蘇の草原は、平安時代の書物に放牧の記述があることから「千年の草原」と評されている。古代より人々が牛馬とともに輪地切り・野焼き・採草・放牧等により維持管理を行なってきたからこそ草原環境が守り継がれている。
草原は希少動植物の宝庫でもある。阿蘇地方の植物の分布種は約1600種といわれ、国内の2割が生育していることになる。これらの中には中国大陸と陸続きであったという太古の歴史を物語る植物もみられる。
「世界の阿蘇」へ地域活性化に期待
阿蘇市では、熊本県・南小国町・小国町・産山村・高森町・南阿蘇村・西原村との共同により、世界遺産暫定一覧表追加資産に係る提案書「阿蘇・火山との共生とその文化的景観」を平成19年9月に文化庁に提出した。
世界遺産に登録されますと、名実ともに〝世界の阿蘇〟として高く評価されるとともに、文化財をはじめとする地域の宝の保護が進み、環境保全や地域活性化にもつながることが期待される。