順天堂大学大学院医学研究科マイクロバイオーム研究講座の井本成昭非常勤助教、渡邉 心准教授らの研究グループは、企業などとの共同研究により、日本人の乳児における腸内ビフィズス菌の占有率には「年上のきょうだいの有無」が大きく関与していることを明らかにした。
渡邉准教授らは、アサヒクオリティーアンドイノベーションズ㈱コアテクノロジー研究所、岩手県立磐井病院小児科・新生児科と共同研究を行った。
研究グループは、生後6ヵ月までの乳児の腸内細菌に関する大規模な追跡調査を行い、出生前後における様々な要因について複合的な解析を実施した。その結果、腸内ビフィズス菌の占有率は、①分娩直前に母体への抗菌薬投与があった群では低いものの成長に伴ってその割合が回復すること、②年上のきょうだいの存在により高くなることを確認。また、③ビフィズス菌に次いで主要な腸内細菌の一つであるバクテロイデス菌の占有率は帝王切開群で低く経膣分娩群では高いことを示した。
腸内細菌と疾患発症の関係解明へ重要なヒント
この研究成果は、小児のアレルギー疾患などさまざまな疾患の発症に関係しているとされる離乳期までの乳児における腸管内へのビフィズス菌やバクテロイデス菌の定着に関して新たな知見を与えるもの。ここ数年大きく注目されている腸内細菌と疾患発症の関係を解明する上で、重要なヒントを示した。
この研究成果は、世界的学術誌ネイチャー系列の英科学雑誌「サイエンティフィック・リポーツ」の電子版に公開された。