未曽有の被害をもたらした東日本大震災から10年を迎えたが、旭化成(株)グループと国立研究開発法人防災科学技術研究所は、旭化成グループが開発を進めているⅠoT防災教育システム「ロングライフイージス」(LONGLIFE AEDGiS)の構築の一環として取り組んでいる東京23区に建つ166棟のヘーベルハウスへの地震計設置を完了したと発表した。
今後、展開する全エリアに建つヘーベルハウス・メゾンを対象に2022年度から運用開始を目指す。将来的には、防災科研の「J-RISQ]を活用してシステムの高度化を進めていく。
「ロングライフイージス」 22年度運用開始目指す
ロングライフイージスは、旭化成グループが一定数のヘーベルハウスに設置する地震計の地震動観測データ、防災科研の知見を活かして整備した高密度な地盤データベース及び地震動伝達に関する高速演算手法を組み合わせ、地震発生後10分~2時間程度で、そのエリアに建つ全てのヘーベルハウス・メゾンの邸別の建物被害レベルや液状化発生状況を推定するシステム。
2020年1月にシステム構築計画を発表し、このほど、第1フェーズとして予定していた地震計166個(166棟分)の設置を完了した。
今年7月からシステム試験運用を開始し、第2フェーズとして2022年4月から、旭化成グループがヘーベルハウスを展開する全エリアでの運用開始を目指す。
建物被害や液状化状況をリアルタイム推定
今後、旭化成グループと防災科研が開発したJ-RISQの予測結果を取り込んで、システムの高度化を進め、得られる高密度な地震動情報を、個別建物、構造物及びインフラ施設等の即時被害推定、液状化発生状況のリアルタイム推定、将来の地震被害想定へ応用しつつ、ロングライフイージスのシステムで得られる知見をもとに共同で実証実験を行うことなどにより、広く世の中のレジリエンス向上を目指して活用していく。
また、現在、旭化成グループと防災科研は、地震発生後の個別建物被害レベルの推定に向けた研究に加え、防災におけるSNS情報の活用に向けた共同研究を進めており、引き続き、地震災害時の迅速な復旧・復興支援の強化に取り組んでいく。