国立研究開発法人防災科学技術研究所では、日本全国における過去の自然災害事例をウェブ地図上に表示する「災害年表マップ」を今年度末を目途に公開する。
災害年表マップは、被害が発生した自然災害の事例を発生年ごとに市区町村単位でウェブ地図上に表示するアプリケーション。元となるデータには、防災科研で整備を進めている「災害事例データベース」を使用している。
防災科研では、このアプリケーションを活用することにより、地域ごとの自然災害の事例を知り、災害が他人事ではなく、今後起こり得ることとして備えるきっかけになることを期待している。
災害事例データベースは、市区町村が発行する地域防災計画から過去の災害事例を集録したもので、地震災害、火山災害、風水害、斜面災害、雪氷災害を対象としている。
収録期間は、日本書紀に記述のある記録に残る日本史上最初の地震が大和国で発生した416年から2013年で、日本全国で発生した約1600年分の災害事例を可視化した。収録事例は約5万レコードに達する。
災害年表マップで使用したデータはウェブ技術者向けにAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース:ソフトウェアの機能や管理するデータなどを、外部の他のプログラムから呼び出して利用するための手順やデータ形式などを定めた規約)配信も行っていく。
これまで、過去の災害事例は個別の災害や種別ごとに資料が作成され、記載方法が一律ではないまま地域防災計画に収録されるなど、収録状況が分散しており、実際には見ることが難しい状態だった。
今回の取り組みでは、日本全国の市区町村の災害事例を統一した基準で整備したことにより、どの地域の災害であっても、簡単に事例が引き出せるようになる。
防災科研では、これらのデータベースを活用することにより、一般市民を含めた幅広い人々に地域の自然災害事例を知るきっかけになればと期待を寄せている。