政府は、熱中症対策を一層推し進めるため、3月25日に熱中症関係省庁連絡会議を改め、環境大臣を議長、関係府省庁の担当部局長を構成員とした「熱中症対策推進会議」を開催し、「熱中症対策行動計画」を策定した。行動計画では、「熱中症による死亡者数ゼロに向けて、できる限り早期に死亡者数年1000人以下を目指し、顕著な減少傾向に転じさせる」を中期的な目標として掲げるとともに、令和3年夏の目標を「「熱中症警戒アラート」などに基づき、国民、事業所、関係団体などによる適切な熱中症予防行動の定着を目指す」と設定。目標の達成に向けて、特に死亡者数の多い高齢者向けの熱中症対策や、地域や産業界との連携強化などの重点対策を体系的にまとめている。
行動計画で定めた重点対策では、重点対象分野として、高齢者等の屋内における熱中症対策の強化、監理者がいる場等における熱中症対策の促進、新型コロナウイルス感染症対策と熱中症対策の両立、東京オリンピック・パラリンピック競技大会における熱中症対策の促進をあげている。
このうち、高齢者等の屋内における熱中症対策の強化では、熱中症対策に関する知見を、高齢者との視点に立って伝わりやすいように包括的に取りまとめ、地方公共団体や民間企業等の協力を得ながら、各府省庁連携して様々なルートを通じてワンポイントで伝える。
管理者がいる場合等の熱中症対策の促進では、教育機関、仕事場、農作業上、スポーツ施設、イベント会場、避難所との現場で、熱中症警戒アラートの活用や、暑さ指数の測定・活用などにより、各現場に応じた熱中症対策を徹底する。
新型コロナウイルス感染症対策と熱中症対策の両立では、マスク着用と熱中症の関係などを含めた、『新しい生活様式』における熱中症予防について、研究調査分析を進め、十分な科学的知見を得ながら、新しい知見を随時盛り込んだ対応策の周知を徹底する。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会における熱中症対策の促進では、多言語での普及啓発、主要競技会場周辺の暑さ指数(WBGT)等の情報発信等、組織委員会や東京都等と連携して、大会本番の熱中症対策に万全を期す。
連携の強化については、地域における連携強化として、地方公共団体を中心とした地域住民の熱中症予防行動を促進。また、高齢者等の熱中症弱者への地域での見守りや声掛けが実施されるよう、地域の団体や民間企業と連携する。
産業界との連携強化においては、熱中症に関連した様々な商品やサービスの開発について、民間企業の技術開発や事業展開の後押しを通じた市場の拡充が、熱中症対策の一層の推進に繋がるよう、産業界との連携を強化する。
広報及び情報発信の強化のため、これまで毎年7月に実施してきた熱中症予防強化月間を、令和3年度から「熱中症予防強化キャンペーン」(毎年4月~9月)として、関係府省庁の連携を強化して広報を実施。また、令和3年度から全国展開する「熱中症警戒アラート」について、関係府省庁が連携して多様な媒体や手段で国民に対して情報発信し熱中症予防行動を促す。