介護のソリューションなどを手掛けるウェルモが、ケアプラン作成支援AI「ミルモぷらん」を正式にリリースした。先月19日まで東京ビッグサイトで開催されていた展示会「CareTEX」でのお披露目となった。
主に第2表の作成に対応したサブスクリプションのクラウドサービス。AIは過去のアセスメントやケアプランに加え、質の高いケアマネジメントの実践に必要な多方面の知見を学んでいる。ケアマネは項目ごとに提案される選択肢の中から、利用者に最も適した内容を選んでいく。個々の特性などを踏まえて必要な加筆・修正を加え、ケアプランを仕上げていく流れだ。
料金は1アカウントごと、ケアマネジャー1人ごとにかかる仕組みで初月無料。2ヵ月目以降は契約条件によって異なってくる。
製品化はCDIに続いて2社目。ウェルモはケアマネジメントの質の向上、事務負担の軽減などにつながるとアピールして普及を目指す。新年度の介護報酬改定でICTの活用が大きな要素となるなど、「現場革新」の具体化を重視する業界のムードも追い風になりそうだ。
ケアプランAIは新しい分野だが、これから3社、4社と参入が続く可能性もある。既にパナソニックやNEC、日本介護ソフトなどが動きを見せており、今後どう展開していくか多くの関係者が熱い視線を注ぐ。
高齢者の急増と現役世代の急減が同時に進んでいくなか、サービスの質を落とさずに業務を効率化する「ケアマネジメントDX」はもはや不可避の流れ。新たなツールの長所をどう見極め、どう味方につけていくか − 。現場サイドも一段と問われていくことになるのかもしれない。
「ミルモぷらん」は単に第2表を素早く埋めるだけのもの、ではない。AIの提案の根拠や参考文献、医療分野の知見などをあわせて提示する。
この機能により、ケアマネは欠けている視点を補いながら仕事を進めることが可能。日々の業務負担だけでなく、継続的な情報収集や学習に使う労力の軽減も図れる。この辺りの使い勝手がユーザーに支持されるかどうかも、今後の注目点の1つになりそうだ。
ウェルモの鹿野佑介代表取締役CEOは17日のCareTEXでの講演で、「個々の思いを汲み取る感性などが重要な感情労働の介護職は、AIで代替できない」と説明。「今後は人とAIがお互いに得意な分野で支え合っていくことが大事」と語った。
AIが得意な分野としては、計算や記憶、単純なルーティンワークなどを例示。逆に人(ケアマネ)は価値判断や意味付け、共感などに長けているとし、そうした仕事に専念できる環境を作りたいと述べた。