順天堂大学、帝京大学、聖心女子大学は、東京都の政策課題に連携して取り組む「令和2年度東京都と大学との共同事業(SDGsの推進と持続可能な都市・東京の実現)」の一環として、外国人診療に役立つ『やさしい日本語』普及のため、医療者向けのリーフレットを制作・発行した。
現在、日本に暮らす外国人の8割が日常会話で日本語を使えると回答しており、東京都外国人新型コロナ生活相談センター(TOCOS)でも、相談者が希望する言語は英語を抜いて「日本語(やさしい日本語)」が一番多くを占めている。
外国人診療の場面でも『やさしい日本語』は広く役立つと考えられているが、『やさしい日本語』に対する医療者の認知度はまだ低く、普及が大きな課題となっている。医療現場で医療者が使う表現には典型的なものも多いことから、よく使われるフレーズを『やさしい日本語』に置き換えることで、実際の診療場面での活用につながることが期待される。
外国人支援団体での活用も想定
順天堂大、帝京大、聖心女子大の3大学では、これまでにも外国人診療に役立てることを目的とした動画教材『医療で用いる「やさしい日本語」』(https://www.juntendo.ac.jp/news/20200925-01.html)を制作・公開してきた。
今回のリーフレットでも3大学から医師(順天堂大大学院医学研究科医学教育学:武田裕子教授(事業代表者))、日本語教育学の専門家(聖心女子大現代教養学部日本語日本文学科:岩田一成教授)、ヘルスコミュニケーションの専門家(帝京大大学院公衆衛生学研究科:石川ひろの教授)がそれぞれの知見を活かして制作している。
医療者が『やさしい日本語』を用いるうえでのコツや、診療場面で使われるフレーズの言い換え、実際に『やさしい日本語』を用いた医療者の感想などを手のひらサイズでわかりやすくまとめた。外国人支援専門家(NPO法人国際活動市民中心:新居みどり氏)の監修も得ている。
リーフレットは、医療者による活用だけでなく、医療機関を受診する外国人が医療機関で提示できるよう、外国人支援団体等での活用も想定している。また、広く活用いただけるよう、ホームページ上でPDF形式により掲載している。