新型コロナウイルス感染症の影響により、アルバイトで生活費を稼ぐことができず、多くの大学生が経済的に困窮している。こうした現状を踏まえて文部科学省では、学生一人ひとりの状況に応じた対応を行うよう求める通知を、全国の大学・高専等に対して行った。筑波大や龍谷大などで実施されている食料支援や、弘前大が地元商工会議所と連携して展開している「プレミアム食事券」によるサービス付与といった好事例を参考にして、それぞれの大学等に適したサポート策を講じるよう要請している。
昨年来の新型コロナウイルス感染症は、感染拡大に歯止めがかかったものの、依然として終息には至っていない。特に首都圏では感染者数の下げ止まり現象がみられ、当初2月7日までだった緊急事態宣言も、2週間を目途に延長されるなど、厳しい状況にある。
一方で、学生の修学状況をみると、各大学・高専の支援などにより、昨年末時点では中退者や休学者数は例年とほぼ同数となっているが、これから年度末・年度始めに向けて、増加することも想定しなくてはならない。また、中退や休学に至らなくても、学生生活を送る上で困難を抱える学生が一定する存在することも、想像できる。
こうした現状を背景として、3月5日付で発出した通知では、大学等での学生へのきめ細やかな支援の好事例を参考にした取組を要請。文科省では経済的に困難な学生をサポートするための支援内容や事例を示しているが、特に、食料品・日用品の支援や、食事の援助を行っている大学の取組事例を共有している。
支援事例として紹介されているのは、地域の農家や企業の協力を得て食料品の無料配布を行った筑波大の取組や、ホームページやSNSでの呼びかけに応えた卒業生の勤務先企業などから寄せられた食料品・日用品を学生に支給した龍谷大の取組など。
また、弘前大では地元商工会議所と連携して、経済的に困窮している学生の健康維持のための食事支援と、コロナの影響を受けた地元の活性化に貢献するためのプレミアム食事券を格安で販売。さらに、寄附金やクラウドファンディングで集めた資金をもとに「100円夕食」を学内で提供している。