(株)日本政策金融公庫農林水産事業が平成28年7月に実施した「平成28年度上半期消費者動向調査」の結果、現在の食の志向については「健康志向」が12半期連続での最多回答となり、食を通じての健康志向の強さが浮き彫りとなった。また、輸入食品と比べて、どの価格レベルまでならば国産食品を選ぶかという価格許容度を聞いた調査では、消費者は「割高でも国産を選ぶ」割合が6割を超え、輸入食品よりも割高ではあっても、安全・おいしさなどから国産食品を優先選択する意識・意向の高さがうかがえる結果となった。
この調査は、平成28年7月1日から12日までの期間でインターネットによるアンケート調査で行われたもの。全国の20歳代から70歳代の男女各1000人の計2000人を対象に実施された。
今回も「健康志向」が最多回答 調査結果によると、消費者の現在の食の志向については、「健康志向」が41.6%で、前回調査(平成28年1月)から0.1ポイント低下したものの、平成22年12月の調査以降、12半期連続で最多回答となった。次いで「経済性志向」が35.3%、「簡便化志向」が31.6%で続いている。
こうした現在の食の志向における「健康」、「経済性」、「簡便化」の三大志向の推移をみてみると、「健康志向」は平成22年度頃から上昇し、その後、継続して高い割合で推移しており、健康第一の志向であることが分かる。
若者の間で「健康」を重視する傾向 一般的に、「健康志向」は高齢世代、「経済性志向」と「簡便化志向」は若齢世代に集中するという特徴が見られる。しかし、今回の結果について、20代に注目してみると、「健康志向」は30代よりも高く、逆に「経済性志向」と「簡便化志向」は30代よりも低くなるという結果となった。こうしたことから、最近では30代よりも20代の若者の方が「経済性や簡便化よりも、健康に気をつかう」傾向が高まっていることがうかがえる。
「簡便性」から「安全性」へ 今後の食の志向については、「健康志向」が44.7%で、現在の志向と同様に最多回答となった。次いで「経済性志向」が34.7%、「安全志向」が28.4%で続いている。
この結果について、現在の食の志向と比較してみると、「健康志向」は現在の食の志向から3.1ポイント上昇しているほか、「安全志向」は8.7ポイントと大きく上昇している。一方で、「簡便化志向」については10.2ポイントの減少となっている。このことから、消費者は、現状では、日常の忙しさ等から簡便性を求めてしまうものの、食の安全についても高い意識を持っており、今後の食の志向は「簡便性志向」から安全志向」へとシフトしていく可能性が考えられる。
国産食品、安全でおいしいイメージ 食料品を購入するとき、または外食するときに国産かどうかを気にかけるかどうかを聞いた結果、食料品の購入時に「気にかける」との回答割合は76.6%となり、外食時に「気にかける」は38.1%となった。
国産食品と輸入食品に対するイメージについては、69.9%が国産食品は輸入食品に比べて価格が「高い」と感じていた。そうしたイメージが持たれている一方、「安全である(69.9%)」、「おいしい(63.2%)」、「色・形がよい(47.3%)」と評価されている。
消費者は国産支持の意向 輸入食品と比べ、どのくらいの価格レベルまでなら国産食品を選ぶかといった、「価格許容度」については、「割高でも国産品を選ぶ」という回答が、62.8%となった前回調査からわずかに低下したものの、61.4%と依然6割を超える高い割合となった。
消費者は、国産食品に対して安全で高品質なイメージを持っており、輸入食品と比べて割高にはなるものの、できるだけ「国産食品を選びたい」という意識・意向が高いことがうかがえる結果となった。