日本経済団体連合会は29日、11都府県で再発令された緊急事態宣言下でのテレワークの状況に関する調査結果をまとめた。それによると、対象地域でエッセンシャルワーカーを除く135万人のうち、およそ87万人の出勤削減に成功。削減率は65%を記録した。
調査は1月15日から22日の間、1648社の企業を対象に実施。このうち30.6%にあたる505社から有効な回答を得た。規模別では、社員1000人未満の企業が235社、1000人以上1万人未満の企業が218社、1万人以上の企業が43社となっている。
取り組み状況をみると、対象企業の90%が可能な業務で原則として在宅勤務やテレワークを実施していると回答。185社では、7割以上の出勤者の削減実施に成功したと答えている。
調査では、出勤の制限に加えて、ほとんどの企業がそのほかの感染防止策を講じていることも判明した。従業員に会食の原則禁止・自粛を求めた企業は96%、ローテーション勤務や時差出勤の推進を図ったのは95%、出張の原則禁止・自粛を要請した割合は94%に上った。
また、昨年4月の緊急事態宣言以降、9割前後の企業がテレワークに向けたIT環境の整備や業務内容・プロセスの改善に着手したこともわかった。具体的には、情報機器や通信環境の整備に95%の企業が、業務内容やプロセスの見直しに87%の企業が、人事制度や勤務体系の改定に66%が乗り出している。これ以外にも少数意見では、研修の実施やオンライン会議の推進、リモートワーク手当の創設、賃金保障の上での時短勤務といった取り組みが寄せられている。
緊急事態宣言下の対応をめぐって政府は、「テレワーク推進による出勤者7割減」を目標として打ち出した。出社することで、同僚と会話や食事をする機会が生まれ、感染リスクが高まることを念頭に置いた考えで、都会や地方など地域に関わらず同じ働き方が可能になるよう後押しするとしている。