2020年12月15日 安全上留意すべき10項目示す 自動運航船の安全設計ガイドラインを策定

国土交通省は、2018年度から実施している「フェーズ2)自動運航船(陸上からの操船やAI等による行動提案で、最終的な意思決定者である船員をサポートする船舶)」の実用化に向けた技術の実証事業で得られた知見を基に、自動運航船の安全設計ガイドラインを12月7日に策定した。ガイドラインでは、設計段階で安全上留意すべき10項目として、運航設計領域の設定、ヒューマン・マシン・インターフェイスの設定、自動化システム故障時等の船員の操船への円滑な移行措置、記録装置の搭載、サイバーセキュリティの確保、避航・離着桟機能を実行するための作動環境の確保、遠隔制御機能を実行するための作動環境の確保、リスク評価の実施、自動化システムの手引書作成、法令の遵守をあげている。

近年、海上安全の一層の向上、船上の労働環境改善、産業競争力の向上・生産性の向上等の観点から、船舶の自動運航技術の実用化への期待が高まっている。

これを受け、国交省海事局では、2018年に自動運航船の実用化に向け、技術開発と基準・制度見直しの大枠を示したロードマップを策定した。同ロードマップでは、「フェーズ2)自動運航船」を2025年までに実用化することを当面の目標としている。

また、自動運航船の安全な設計、製造や運航を実施するための環境整備として実証事業を実施し、それぞれのフェーズで留意すべき事項などをガイドラインとして順次整備することとしている。

ガイドラインで掲げられた10項目のうち、運航設定領域の設定では、自動化システム(又は船員)が、航行中の航路幅等の地理的条件、気象海象等の環境条件等が事前に設定された領域の範囲内にあることを確実に認識し、同システムが当該範囲内で適切に作動するよう設計することを求めている。

ヒューマン・マシン・インターフェイスの設定では、自動化システムの判断に関する情報を船員が容易に認知できる機能を考慮することとしている。

自動化システム故障時等の船員の操船への円滑な移行措置では、自動化システムが故障等により正常に作動しなくなった場合、船員が操船を円滑に引き継ぐことが可能な設計とすることとした。

サイバーセキュリティの確保では、サイバーセキュリティに関する最新情報を収集しクラッキング対策等を考慮し設計することとしている。

避航・離着桟機能を実行するための作動環境の確保では、避航操船機能について、避航対象(船舶、浅瀬、障害物等)の状況・状態を考慮することや、離着桟機能について、岸壁へのアプローチの取り方、船側、岸壁からの隔離距離における制御余裕を考慮することを求めている。

遠隔制御機能を実行するための作動環境の確保では、遠隔制御システムの運航設計領域は、通信の遅延時間、通信容量、通信可能エリア等を考慮することを求めている。

記録装置の搭載では、自動化システムが作動開始及び停止した時刻、引継ぎ要求が発せられた時刻等を記録する装置を備え置くことを求めている。


株式会社官庁通信社
〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-13-14
--総務部--TEL 03-3251-5751 FAX 03-3251-5753
--編集部--TEL 03-3251-5755 FAX 03-3251-5754

Copyright 株式会社官庁通信社 All Rights Reserved.