健康保険組合連合会は5日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って通院する回数を減らしたり、行くのをやめたり人のうち、7割弱が「特に体調が悪くなったとは感じない」と答えた調査結果をまとめた。
調査は今年の9月に、全国の20代から70代の男女4623人に対し、webを通じてアンケート方式で実施。新型コロナウイルスの感染拡大期における、医療機関へのかかり方や自身の体調・意識の変化などを探った。
それによると、持病で以前から定期的に通院していたのは3500人。このうち、緊急事態宣言が出ていた4月~5月頃に通院の頻度を減らしたり、行くのをやめたりしていた人は24.7%だった。
宣言解除後の6月頃の様子について質問したところ、69.4%は「特に体調が悪くなったとは感じない」と回答。さらに、7.3%は「通院しない、あるいは頻度を少なくしても体調が回復した」と答えていた。「特に体調が悪くなったとは感じない」と答えた人にその理由を複数回答で尋ねると、「普段よりも長い日数分の薬の処方を受けていたから」が84.2%で最も多かった。それに、「電話やオンラインで診療を受けていたから」(80.0%)、「他の人に新型コロナウイルスを感染させるかもしれないと思ったから」(76.1%)、「自身の体調管理により、通院する必要性を感じなくなった、あるいは頻度を減らしてもよいと感じたから」(72.0%)といった回答が続く結果となった。
持病がある人のうち、4月~5月頃にオンライン診療を受けていた人はわずか1.9%。初診からの実施を希望する人は34.9%なのに対し、再診時に希望する人は51.0%だった。
一方、持病はないが感染拡大以降に通院を考えていた1123人に質問したところ、14.2%は外来を受診しなかったが、このうち76.3%は体調の悪化を感じていなかった。理由(複数回答)では、「病状・体調が回復したから」(81.4%)のほか、「市販薬の服用などによる対処」(70.4%)、「他の人に新型コロナウイルスを感染させるかもしれないと思ったから」(63.6%)などが多かった。
また、新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、意識が変わったかを持病の有無に関わらず複数回答で聞いたところ、全体の39.2%が「以前に比べ、生活習慣病の予防に関心を持つようになると思う」、33.0%が「以前に比べ、生活習慣病以外の病気の予防や健康管理に関心を持つようになると思う」、23.5%が「以前に比べ、医療機関を受診するかどうかを慎重に考えるようになると思う」など、高い割合を示した。
■ 長期処方やオンライン診療セルフメディケーション推進を
結果を受けて健保連は、かかりつけ医制度を普及させることで、1回の診療で長期間分の薬を処方したり、オンライン診療を活用したりするなど、患者が適正に受診できる仕組みが必要だと指摘。スイッチOTCの対象範囲を拡大することでセルフメディケーションを促すことや、患者ニーズが高いオンライン診療について条件・環境を整備しつつ進めることも効果的だと訴えた。