2020年11月11日 地上・衛星放送で563件 放送停止事故の発生状況(令和元年度)

総務省は、放送法及び放送法施行規則の規定に基づき、放送事業者から設備の状況(放送停止事故の発生状況について、報告を求めているところで、同省は10月30日、令和元年度(平成31年4月1日から令和2年3月31日まで)に発生した放送停止事故について取りまとめた。それによると、地上・衛星系の放送での令和元年度の放送停止事故の発生件数は563件で、平成23年度から集計を始めて以来、過去2番目に多い件数となった。令和元年房総半島台風(9月)と令和元年東日本台風(10月)を原因とする放送停止事故がそれぞれ144件と67件で、全体の約4割を占めた。重大事故の発生件数は27件で全体の約5%となり、過去最悪であった平成30年度の40件より減少。このうち21件が7月から10月に発生している。

地上系・衛星系の放送事故での停止事故に係る継続時間と放送種別の関係を見ると、全563件のうち、192件(全体の約34%)が15分未満で復旧している一方、放送停止の継続時間が10時間以上の事故が167件発生し、過去最悪となった。これは、令和元年房総半島台風や令和元年東日本台風に伴い大規模停電が発生し、電源復旧の遅れにより非常用電源が枯渇したことが主な要因となっている。

発生原因と放送種別の関係では、令和元年度は、前年度と比べると、地上デジタル放送、中波放送、超短波放送、短波放送及びマルチメディア放送、コミュニティ放送のそれぞれで自然災害による事故割合が増加している。衛星基幹放送と衛星一般放送では設備故障の割合が増加している。

設備故障を原因とする停止事故については、番組送出設備の故障が約59%、次いで、放送局の送信設備の故障が約31%となり、この二つが設備故障の原因の約9割を占めている。放送局の送信設備の事故原因の約5割が第三者要因であるのに対して、番組送出設備の事故原因の約6割が設備故障となっている。

有線一般放送での停止事故の発生状況を見ると、令和元年度の放送停止事故の発生件数は100件で、このうち重大な事故は6件で全体の6%となっている。また、平成30年度に比べて停止事故発生件数は半減しているものの、27年度から29年度の平均に比べてやや増加した。令和元年度の9月に発生した放送停止事故20件のうち、11件が令和元年房総半島台風による伝送路の断線や大規模停電等を原因とする事故となっている。

有線一般放送での停止事故に係る継続時間と設備規模・発生原因の関係について、令和元年度は、平成30年度と同じく10時間以上の放送停止事故が最も多く、自然災害によるものが長時間化する傾向にある。発生原因は台風や地震等の自然災害によるものが最も多く、次いで設備故障による停止事故が多い。

有線一般放送での停止事故の発生原因について、令和元年度は、自然災害(伝送路の破損等)による停止事故が最も多く、次いで設備故障による事故が多い。設備故障を原因とする停止事故については、ヘッドエンド設備の故障が50%、次いで伝送路設備の故障が27%となっている。自然災害を原因とする停止事故では、伝送路及び伝送路設備の故障に繋がるものが約6割となっている。


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