やはり介護職員、ホームヘルパー、ケアマネジャーの処遇改善が実際に進むようにしないといけません。【結城康博】
来年4月の介護報酬改定をめぐる議論が佳境に入りつつあります。実際にどれくらいの財源を投じるか? 政府は年内に方針を決めるのですが、水面下での攻防も徐々に本格化しつつあるようです。
さすがにマイナス改定はないだろう − 。これが大方の予想ですよね。私もそう思います。新型コロナウイルスの影響はそれほど大きく、政府も介護現場を更に追い込むようなことはできないでしょう。
ただ安易な楽観論に偏ると、後になってひどく落胆することになるかもしれません。今年度の第2次補正予算による大盤振る舞いなどを引き合いに出し、財政当局は厳しい態度で交渉に臨んでいるようです。
やはりそう簡単にはいかない、ということなのでしょう。まだどうなるか分かりませんが、改定が微増に留められ介護現場の生殺し状態が相変わらず続いていく、という結果になるかもしれません。
そんなことは決して許されない。それが私の意見です。
コロナ禍で人手不足に拍車がかかり、事業所の経営も一段と余裕がなくなりました。高い感染リスクや非常に重い責任が社会に理解され、景気・雇用情勢が悪化しても介護現場に人材が入ってきてくれていません。
私が9月に実施した調査でも、63.4%の事業所が「経営に困っている」と回答しました。東京商工リサーチは今月、介護事業者の倒産、休廃業、解散が過去最多のペースで推移していると報告しています。
介護現場で以前から聞こえていた崩壊の足音は、このところ確実に一段と大きくなりました。今後の介護ニーズに応えられる体制を構築していくためには、やはり介護報酬の大幅増が不可欠ではないでしょうか。
目下の危機的な状況を踏まえると、来年4月の改定では少なくとも過去最大規模の引き上げを断行すべきと考えます。すなわち、2009年のプラス3%を上回る大幅増。最低でもそれくらいしないと、職員の十分な処遇改善には結びつきません。
今の人手不足の流れを変えないと、本当に日本の介護保険はサービス提供サイドから壊れてしまうでしょう。介護職の良心に頼るのはもうやめて、彼らの仕事に応えるだけのお金をしっかり投入して頂きたい。