総務省は20日、「敬老の日」(9月21日)にちなんで、統計からみた我が国の65歳以上の高齢者の姿についてとりまとめた。それによると、我が国の総人口(2020年9月15日現在集計)は、前年に比べ29万人減少している一方、65歳以上の高齢者(以下「高齢者」)人口は、3617万人と前年に比べ30万人増加するとともに、過去最多となった。総人口に占める割合は28.7%で前年に比べ0.3ポイント上昇するとともに、過去最高となっている。
男女別にみると、男性は1573万人(男性人口の25.7%)、女性は2044万人(女性人口の31.6%)となり、女性が男性より471万人多くなっている。
人構成比(女性100人に対する男性の数)については、15歳未満で105.0、15~64歳では102.7と男性が多いのに対し、65歳以上では77.0と女性が多かった。
年齢階級別では、いわゆる「団塊の世代」(1947年~1949年生まれ)を含む70歳以上人口は2791万人(総人口の22.2%)で、前年に比べ78万人増(0.7ポイント上昇)となった。また、75歳以上人口は1871万人(同14.9%)で24万人増(0.3ポイント上昇)、80歳以上人口は1160万人(同9.2%)で36万人増(0.3ポイント上昇)となっている。
総人口に占める高齢者人口の割合の推移をみると、1950年(4.9%)以降一貫して上昇が続いており、1985年に10%、2005年に20%を超え、2020年は28.7%となった。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、この割合は今後も上昇を続け、第2次ベビーブーム期(1971年~1974年)に生まれた世代が65歳以上となる2040年には、35.3%になると見込まれている。
今年の高齢者の総人口に占める割合を比較すると、日本(28.7%)は世界で最も高く、次いでイタリア(23.3%)、ポルトガル(22.8%)、フィンランド(22.6%)などとなっている。
また、高齢者の総人口に占める割合の推移をみると、各国とも上昇傾向にある。
高齢者の就業
高齢者の就業についてみると、2019年の高齢者の就業者(以下「高齢就業者」)数は、2004年以降、16年連続で前年に比べ増加し、892万人と比較可能な1968年以降で過去最多となった。
高齢就業者数の対前年増減をみると、「団塊の世代」の高齢化などを背景に、2013年から2016年までは主に65~69歳で増加、2017年以降は「団塊の世代」が70歳を迎え始めたこと等により、主に70歳以上で増加している。
2019年の高齢者の就業率を年齢階級別にみると、2019年は65~69歳で48.4%、70歳以上で17.2%となり、年齢が高くなるとともに就業率は高くなっている。
また、男女別では、男性が34.1%、女性が17.8%と、いずれも8年連続で前年に比べて上昇している。65~69歳の就業率をみると、2014年に男性は50%、女性は30%を超え、その後も一貫して上昇している。
15歳以上の就業者総数に占める高齢就業者の割合は13.3%と比較可能な1968年以降で過去最高となった。
高齢就業者を主な産業別にみると、「卸売業、小売業」が126万人で最も多く、次いで「農業、林業」が108万人、「サービス業(ほかに分類されないもの)」が103万人、「製造業」が94万人などとなった。
各産業の就業者に占める高齢集合者の割合をみると、「農業、林業」が52.2%と最も高く、次いで「不動産業、物品賃貸業」が26.4%、「サービス業(ほかに分類されないもの)」が22.6%、「生活関連サービス業、娯楽業」が18.2%などとなっている。
従業上の地位別にみた高齢就業者の数は、役員を除く雇用者が503万人で高齢就業者の56.9%、自営業主・家族従事者が273万人で30.9%、会社などの役員が108万人で12.2%となっている。さらに、高齢就業者のうち役員を除く雇用者(以下「高齢雇用者」)を雇用形態別にみると、非正規の職員・従業員が77.3%を占め、そのうちパート・アルバイトの割合が52.7%と最も高い。
また、高齢雇用者について、正規及び非正規の職員・従業員の推移をみると、正規・非正規ともに増加傾向で推移しており、正規の職員・従業員は、2009年(77万人)から2019年(114万人)で37万人増加し、非正規の職員・従業員は、2009年(158万人)から2019年(389万人)で231万人増加している。
雇用形態が秘跡の職員・従業員の高齢雇用者について、現在の雇用形態について主な理由別の割合を男女別にみると、男性は「自分の都合のよい時間に働きたいから」(30.9%)が最も高く、次いで「専門的な技能等をいかせるから」(17.5%)、「学校の補助・学費等を得たいから」(16.5%)などとなった。また、女性についても、「自分の都合のよい時間に働きたいから」(38.6%)が最も高く、次いで「家計の補助・学費等を得たいから」(21.1%)、「専門的な技能等をいかせるから」(8.2%)などとなっている。
主要国における高齢者の就業率を10年前と比較すると、日本(+5.3ポイント)、カナダ(+4.3ポイント)をはじめ、各国とも上昇している。2019年の日本の高齢者の就業率は24.9%となり、主要国の中でも高い水準にある。
最近の高齢者の就業について、2020年7月まで月別にみると、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、高齢就業者数は前年同月と比べ2020年4月に減少したものの、5月以降増加している。また、就業率についても、6月以降上昇しており、就業者数と同様に4月を底に改善傾向がみられる。