農林水産省は、スマート農業の社会実装を加速化するため、令和元年度スマート農業実証プロジェクトに参画する農業者(水田作)のうち、代表的な8名に対して実施した実証効果や経験についてのインタビュー動画をとりまとめて公開した。
インタビューを受けた8名は動画で「スマート農業技術を導入し、今までやってきたことを変えることに抵抗感もあるかもしれないが、毛嫌いせずに挑戦する価値があると感じた」、「スマート農業機械のうち、特に直進キープ田植機、農薬散布ドローンや自動水管理装置は、確実に効率化や軽労化に繋がる。また、(労働環境が改善されたことにより)社員の労働のモチベーションが上がった」、「スマート農業技術導入により削減された労働時間を活用し、トマトの生産拡大に取り組むことができた」と述べている。
さらに、「中山間地域において、直進キープ田植機等を市町村間シェアリングにより導入。減価償却費の削減が期待できる」、「栽培・経営管理システムが算出する追肥データに懐疑的だったが、良い結果が出た。同システムは、生育予測や病害虫予測などにおいて自分たちの経験からは発想しないアイデアを提供してくれる」、「スマート農業技術があれば、60歳を超えていても農業で活躍できる」といったコメントを寄せている。
また、動画をみた農業者を対象として、スマート農業に関する現状や課題についてのアンケートが実施されている。回答はスマート農業の社会実装を加速化させるための検討の参考とするとしており、積極的な協力を呼び掛けている。
今回取り上げられた農業者の概要(実証経営体、地区、類型、実証課題、動画で紹介している技術)
1.白石農園(北海道新十津川町)【大規模・家族経営】
高品質・良食味米生産を目指す家族経営型スマート農業一貫体系の実証(※ロボットトラクタ・ドローン)
2.(株)十三湖ファーム(青森県中泊町)【大規模・法人経営】
冷害を回避し多収を実現する大規模水田作スマート農業の実証(津軽西北地域)(※水管理システム、直進キープ田植機)
3.(有)横田農場(茨城県龍ケ崎市)【大規模・法人経営】
関東平坦部における栽培管理支援システムとスマート農機の連携による大規模水稲作営農体系の実証(※ロボットトラクタ、食味収量コンバイン)
4.(株)ライス&グリーン石島(茨城県下妻市)【輸出・法人経営】
スマート農業技術を活用した超低コスト輸出用米生産の実証(※営農支援システム、ドローン)
5.(有)米八(新潟県新潟市)【大規模・法人経営】
農業データの一元管理によるスマート農業体系の実証(※営農支援システム)
6.(農)夢耕坊(石川県白山市)【大規模・集落営農】
大規模水稲経営における農業ブルドーザとドローンを活用したスマート農業技術体系の実証(農業用ブルドーザ、ドローン)
7.(株)Amnak(アムナック)(兵庫県養父市)【中山間・法人経営】
持続的営農を目指した山間部水田作地域におけるスマート農業の実証(※無線遠隔草刈機、営農支援システム)
8.(農)寄江原(岡山県真庭市)【中山間・集落営農】
集落営農法人による持続可能な中山間地域営農体系の実証(※直進キープ田植機等のシェアリング)