内閣府がまとめた2020年4~6月期四半期別GDP速報(1次速報値)によると、2020年4~6月期の実質GDP(国内総生産・2011暦年連鎖価格)の成長率は▲7.8%(年率▲27.8%)と3四半期連続のマイナス成長となった。これは、外食、旅客輸送、娯楽サービス、宿泊等の減少により国内需要(内需)が3四半期連続のマイナス、訪日外国人の国内消費、日本人旅行者の国外消費等の減少により財貨・サービスの総輸出(外需)が2四半期連続のマイナスとなったことが要因。名目GDPの成長率は、▲7.4%(年率▲26.4%)となっている。
GDP成長率のうち、どの需要がGDPをどれだけ増加させたかを示す寄与度で見ると、実質は内需が▲4.8%、外需が▲3.0%であった。また、名目は内需が▲5.5%、外需が▲1.9%であった。
民間需要の動向についてみると、民間最終消費支出は、パソコン、エアコン等が増加したものの、外食、旅客輸送、娯楽サービス、宿泊等の減少により、実質▲8.2%と3四半期連続の減少となった。
民間住宅は、実質▲0.2%と3四半期連続の減少となっている。
民間企業設備は、実質▲1.5%減と2四半期ぶりの減少となった。供給側推計の基礎となる総固定資本形成の動きをみると、自動車等への支出が減少に寄与したとみられる。
民間在庫変動のGDP寄与度は、実質▲0.0%であった。これは、実質の在庫残高の増加幅が2020年1~3月期から縮小(2020年1~3月期0.4兆円、4~6月期0.1兆円)し、2020年1~3月期と比べた増加幅の縮小分(0.3兆円)がGDP成長率に対して寄与したことによるもの。
公的需要の動向については、政府最終消費支出は、実質▲0.3%と8四半期ぶりの減少となった。公的資本形成については、実質1.2%増と2四半期ぶりの増加となっている。公的在庫変動のGDP寄与度は、実質▲0.0%となっている。
輸出入の動向については、財貨・サービスの輸出は、実質▲18.5%と2四半期連続の減少となった。これは、財貨で自動車等、サービスでは旅行(訪日外国人の国内消費)等が減少に寄与したため。
財貨・サービスの輸入は、実質▲0.5%と3四半期連続の減少となった。これは、財貨で自動車等、サービスでは旅行(日本人旅行者の国外消費)等が減少に寄与したことが要因。
デフレーターの動向については、GDPデフレーターは、季節調整済前期比で0.5%となった。国内需要デフレーターは前期比▲0.8%となっている。外需デフレーターはプラスに寄与した。GDPデフレーターの前年同期比は、1.5%であった。
2019年度の実質GDP成長率は0.0%、名目GDP成長率は0.8%であった。2019年度のデフレーターは、GDPデフレーターが0.8%、国内需要デフレーターが0.8%、国内需要デフレーターが0.5%となった。GDP成長率のない外需別寄与度をみると、実質の内需が0.2%、外需が▲0.2%で、名目の内需が0.7%、外需が0.1%となった。