日本財団は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、1年間開催が延長された東京オリンピック・パラピックに関する17歳~19歳の若者を対象とした意識調査を実施し、このほど調査結果を公表した。来年夏に規模もおおむね当初どおり開催すべきと答えたハイティーンが最も多く28%。再度1年延期して2022年の開催は22.3%、「中止」は19.7%だった。新型ウイルス感染症の拡大が終息していないなか、五輪開催に対する若者の複雑な心境が浮き彫りとなった。
選手のために開催すべき
予定どおりの開催が最多となったが、規模の縮小など「簡素化して開催」は18.5%、次回大会の2024年以降に実施すべきとしたのは11.5%。このうち、予定どおりに開催すべきと答えた若者に理由を聞いたところ、「オリンピックのために頑張ってきた選手がたくさんいるから」「東京五輪が決まった時から多くのアスリートは出場やメダルを目標として練習に励んできた」と選手の心境を思いやる声が多数寄せられた。
また、経済的にもアスリートのパフォーマンスからみても、来年以外に開催できる年はないという意見や、「来年度にはコロナウイルスも終息していると思われ、開催をさらに延ばすとなると、無駄な税金がさらに増える」との声が聞かれた。
一方、1年延期し2022年開催とした回答者や、中止すべきと答えたのは、コロナの終息が難しいなか、世界中の人々を集めるオリンピック・パラリンピック開催はリスクが大きすぎることが主な理由。
最多は「観客席の縮小」
さらに、調査では〝簡素化〟の内容についても聞いた。多かったのは「観客席の縮小、チケットの販売制限」(26.2%)と「開会式・閉会式の縮小」(26.0%)。関連イベントの縮小・中止や聖火リレーの中止、競技ごとの参加者数の縮小、競技の実施方法の簡素化なども1割未満であったが、〝簡素化〟の内容としてあがった。
東京オリンピック・パラリンピックを中止した場合の影響としては、52%が「コロナ感染拡大のリスクの軽減」をあげる一方、47%が「経済波及効果の損失」を指摘。「アスリートのモチベーション低下」も39%が回答した。
大会成功への備えとしては、「新型コロナウイルス対策」が74.0%で断トツ。2019年調査で3割が回答した「猛暑対応」は6.3%、同じく24.1%だった「テロ対策」は4.7%となるなど、コロナ対策が関心を独占している現状が明らかとなった。
コロナ感染拡大防止で必要な備えとしては、「三密を防いだ会場運営」が68.9%、「ワクチンや治療薬の普及」が46.3%、「入国の際の検査の徹底」が34.1%。選手・大会関係者らのPCR検査の強化は27.9%となった。
アスリートのモチベーション維持も重要な課題となるが、必要と考えられる対策としては、「開催判断の早期決定」が30.9%と最多。「アスリートや関係者のメンタルケア」は19.5%だった。オリンピック開催が「楽しみ」と答えたのは、55.5%。昨年調査では68.5%だったことから、コロナ禍が世紀の式典開催に、気持ち的にも水を差したこと判明した。
国際協調のメッセージを
さらに、パンデミック下の異例の大会となるが、世界に向けてどのようなメッセージを発信すべきか聞いた。「人類や文化を問わず、世界中が協力してウイルスに勝つことができるということをアピールすべき」と国際協調をアピールする声が聞かれた。さらに、感染症予防の啓発とともに、「自分だけではなく、周りの人のために!」など互いを思いやる気持ちを伝えることの重要性が強調された。