新型コロナ感染症拡大により、全国の学校では長期にわたる休校が続いたが、休校により最も困ったことは「学業」で、また、約6割の若者が休校措置により教育格差を感じていることが、日本財団が17歳から19歳の男女を対象に行っている意識調査で明らかとなった。政府をあげて議論することが決まっている秋季入学に関しては、賛成・反対・わからないがそれぞれ同程度存在する。
部活動の大会、7割が「何らかの形で開催すべき」
休校で最も困ったことを聞いたところ、37.4%が「学業」、20.3%が「友達とのコミュニケーション」、17.8%が「受験や進学・就職」と回答。部活動は9.3%、体育祭や文化祭の行事は4.1%、学費の負担は2.2%、卒業式や入学式は2.1%となった。
また、甲子園やインターハイなど、部活動の大会の中止が相次いでいるが、部活動の大会に関して、68%が「何らかの形で開催すべき」と答えた。「無観客や延期などの措置をとり、開催すべき」は37.2%、「引退試合など別の形での開催を検討する」が20.3%、通常どおり開催すべきとしたのは10.8%。
何らかの形で開催すべきとの回答者に理由を聞いたところ、「今まで頑張ってきたのに何もせずに終わるのは嫌だ。プロ野球は開催されて、甲子園や他の部活の大会はやらないなんておかしい」といった声が寄せられた。
また、休校措置により、教育格差を感じるか尋ねた。「感じた」と答えたのは58.6%で、「感じていない」は15.8%。25.6%は「わからない」。こちらの格差を感じる理由を聞いたところ、「私立と都立ではオンライン授業などで、勉強時間の差が出てしまう」「休校が長引いたところとされていないところがあるから」との回答が聞かれた。また、「塾に通っている子どもと、通っていない子どもとで差が生まれてしまう」「オンラインでの課題配信が中心の学習となっており、自主的に学習できる生徒とそうでない生徒の差が生じる」といった意見が寄せられている。
学習遅れ「オンライン授業」で打開
学習の遅れ打開策に関して質問したところ、第1位は「オンライン授業を増やす」で52.5%、2位は「夏休みなどの長期休暇を減らす」(38.8%)、3位は「9月入学の導入で卒業時期を延期する」(25.9%)。このほか、「土日祝日も授業を行う」(22.4%)、「学習指導要領を改訂し、カリキュラムを減らす」(20.8%)といった声もあった。
学習遅れ打開策の第3位となった〝9月入学〟に関しては、導入賛成が38.4%、反対が31.2%で、30.4%が「わからない」と回答。このうち賛成回答者に理由を聞いたところ、「休業による授業の遅れを取り戻せる」が81.3%、「冬季を避けた入試が可能」が37.5%「留学がしやすくなる」が36.5%。反対回答者の理由としては、「入試に影響する」(55.4%)、「春卒業・入学が日本の文化」(39.1%)、「移行に伴う個人負担が増える」(36.9%)がベスト3。
さらに、来冬試験での導入は見送られたものの、議論は本格に進めることが決まった9月入学について、検討に求める議題としては、「移行期の学年へのフォロー」「入学試験の調整と周知」「企業との採用活動の調整」「学校運営の方法」などが多くを占めた。9月入学導入の方法としては、一斉実施が34.7%の支持を集めた。段階的実施は21.3%だった。
再度休校が行われた場合、学習時間を確保するための対策としては、「オンライン授業の導入と整備」が50.8%でトップ。家庭での学習を考慮した授業設計は16.6%となった。また、今後取り入れられるべき教育制度としては、29.1%が「得意科目を伸ばすようなカリキュラムの導入」と答え、「1年ごとの単位制を全学年を通した単位制に改める」は20.8%が回答した。