北朝鮮による日本人拉致問題は、わが国の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題であり、政府としては、最重要課題と位置付け、解決に向けて全力で取り組んでいる。
拉致問題の解決のためには、世論の一層の喚起が不可欠。内閣府を中心とする政府拉致問題対策本部は、特に若い世代に拉致問題への理解促進を図ることが重要との認識のもと、従来から児童生徒が拉致問題について深く認識し、拉致問題を人権問題として考える契機とするため、アニメ「めぐみ」や映画「めぐみ」の学校などでの上映会の開催を促進するよう全国の都道府県教育委員会などを通じて、周知をもとめてきた。
政府では、今年度においても、拉致問題の重大さを一層認識してもらい、一人でも多くの児童生徒らに拉致問題について関心を抱いてもらおうと、映像作品の貸与や政府拉致問題対策本部ホームページからのダウンロード、学習指導案の紹介、北朝鮮人権侵害問題啓発週間作文コンクールなどへの協力を要請している。
アニメ「めぐみ」は、昭和52年当時中学1年生だった横田めぐみさんが、学校からの帰宅途中に北朝鮮当局により拉致された事件を題材に、残された家族の苦悩や、懸命な救出活動の模様を描いた25分のドキュメンタリー・アニメ。
アニメの制作に当たっては、漫画「めぐみ」(原作・監修:横田滋・早紀江、作画:本そういち、出版社:双葉社)をモチーフとし、日本俳優連合の協力のもと、声優らがボランティアで出演している。
アニメのDVDは、国内外において拉致問題に対する理解を深めてもらうため、日本語版のほか、外国語の吹き替え版(英語・中国語・韓国語・ロシア語)及び字幕版(フランス語・スペイン語・ドイツ語・イタリア語・タイ語)を制作している。
また、政府・来問題対策本部のホームページから、動画ファイル(英語・中国語・韓国語・ロシア語・フランス語・スペイン語・ドイツ語・イタリア語)を無料でダウンロードできる。映画「めぐみ」は、わずか13歳の時に北朝鮮に拉致されてしまった横田めぐみさんの話を中心に、拉致問題の経緯や被害者家族の救出活動などを描いた90分のドキュメンタリー映画。内閣官房拉致問題対策本部事務局では、この映画の上映を希望する学校等教育機関に、日本語版のDVDの貸出を行っている。
政府では、このアニメや映画を視聴することにより小学生、中学生及び高校生に北朝鮮による拉致問題について深く認識し、拉致問題を人権問題として考える契機としたい意向だ。
また、学習指導案については、平成30年度に実施した「拉致問題に関する教員等研修」の一環として作成された学習指導案の中から、汎用性が高く教育現場等において拉致問題を取り上げる際の参考になると思われるものを学校種ごとに数例ずつホームページ上で紹介している。
北朝鮮人権侵害問題啓発週間作文コンクールについては、今年度は新たに英語エッセイ部門を設ける予定で、一人でも多くの中高生に参加してもらえるよう協力を呼びかけている。