「今後、診療明細書は必要だと思う」と答えた人が71.0%に上ることがこのたび、日本労働組合総連合会の調査で明らかになった。その理由を複数回答で聞いたところ、最も多かった回答は「受けた医療の内容を知ることができるのは当然の権利だから」(77.5%)だった。
連合は昨年10月4日から7日にかけて、インターネットを通じて調査を実施した。全国の30歳以上の男女1000人から有効な回答を得ている。
最近1ヵ月の間に、診療所で診察を受けた人は、全体のちょうど半数にあたる500人。このうち、領収証と診療明細書の受け取り状況について聞いたところ、16.8%にあたる84人が「領収証だけを受け取った経験がある」と答えた。84人に領収証しか出されなかったとき、どうしたか聞いたところ、「特に気にせず、何もしなかった」(88.1%)が最も高かった。他方、「なぜ診療明細書が出されないのか気になったが、言い出せなかった」(4.8%)や「診療明細書を出すようお願いしたが、もらえなかった」(2.4%)という回答もわずかながらみられる。
さらに、全回答者へ今後、診療明細書が必要だと思うか聞いたところ、「必要」は29.3%、「どちらかといえば必要」は41.7%と、合わせて71.0%が必要性を感じていることが明らかになった。診療明細書が必要だと答えた710人に、その理由を複数回答で尋ねたところ、「受けた医療の内容を知ることができるのは当然の権利だから」(77.5%)が最も高い。次いで、「医療費の明細を知るための情報源になるから」(54.5%)、「セカンドオピニオンを受ける際の説明材料として便利だから」(20.8%)が続いた。逆に診療明細書が必要ないと答えた人では、「もらってもよくわからないから」(56.2%)や、「処分に困るから」(26.9%)、「様式がさまざまであり、保存・管理が面倒だから」(18.3%)といった回答が多かった。
■ 発行義務の免除に56%が「おかしい」
診療所には、常勤の医師が高齢の場合や診療明細書を発行するためにはシステム改修が必要な場合、診療明細書の発行義務が免除されている。なお、この仕組みをめぐっては、2020年度の診療報酬改定で今月からすべての医療機関により、患者が要求する場合は発行が義務となった。しかし、全額が公費負担の患者については、まだ診療明細書の発行義務が免除されており、今後の課題となっている。
そのため、1000人にこうした仕組みをどう思うか聞いたところ、「医療機関によって発行されないのはおかしい」と答えた人は56.3%、「特に何も思わない/やむをえない」と答えた人は43.7%だった。