理化学研究所や東京大学が参加した37ヵ国による共同研究チームは6日、38種類のがん2800症例以上で全ゲノムを解析した結果、4600万個を超える変異・異常を同定し、その特徴を明らかにしたと発表した。今後、患者の遺伝子変異に合わせた次世代の「がんゲノム医療」などの基盤になることが推測されている。研究成果は、同日付の科学雑誌「Nature」のオンライン版に掲載された。
研究チームは、日本人の肝臓がんの270例を含む全2834例のデータを、東大の「SHIROKANE」をはじめとする、世界10ヵ所のスーパーコンピュータで解析した。その結果、4400万個の一塩基変異、240万個の短い欠失・挿入、29万個の構造異常、約8000個のミトコンドリアゲノム異常などを特定。さらに、がん体細胞の一塩基変異数は、がんの診断年齢が高いほど多い傾向にあるなど、それぞれの特徴を明らかにした。
がんは、ゲノムの変異や異常が蓄積することで発症進行する病気だ。現在、世界中でがんの網羅的なゲノム解析やゲノム情報に基づく薬の開発、1人ひとりへのオーダーメイド治療や研究の基盤になることが期待されている。