来年4月に控える次の介護報酬改定に向けて、厚生労働省は訪問介護の現場の実態を探る調査を新たに行う方針だ。
掃除や洗濯、調理といった生活援助の担い手を育てるための研修を受けた人がどれだけいるか? ICTの導入による人材の有効活用がどこまで進展しているか?
そうした動向を事業所の収支などとあわせて把握する。結果の一部を来秋にまとめ、改定をめぐる議論の基礎資料として活用する考えだ。
24日に開催した社会保障審議会の分科会でこうした構想を説明した。
訪問介護は人手不足が最も深刻なサービスの1つ。昨年度の有効求人倍率は13倍を超えた。増加するニーズに応えていくだけのマンパワーを確保できておらず、事業所がやむを得ずサービスの提供を断るケースも少なからず生じている。
これまで現場を支えてきたホームヘルパーの高齢化も進んだ。今後、歳を重ねて退職する人が更に増えていくとみられる。事態を好転させる対策が急務。次の改定で国がどんな手を打つのか、非常に大きな注目が集まっている。
厚労省は4月から新たな調査の準備を本格化させる。実施は来夏の予定。約1万3000の訪問介護事業所、約1万のケアマネ事業所を対象とする。個々の高齢者の尊厳が守られるよう、現場の実情とあった有効な施策の展開が期待されている。