今後の石綿飛散防止の在り方について検討を行っていた、環境省の中央環境審議会大樹・騒音振動部会石綿飛散防止小委員会(委員長:大塚直早稲田大学大学院法務研究科教授)は、今後の石綿飛散防止のあり方について答申をまとめ、24日に中央環境審議会会長から環境大臣へ答申した。答申では、今後の石綿飛散防止の在り方について、特定建築材以外の石綿含有建材の除去等作業の際の石綿飛散防止、事前調査の信頼性の確保等を提言している。
平成25年の大気汚染防止法改正により石綿の飛散防止が強化されたが、この改正に向けた「石綿の飛散防止対策の更なる強化について(中間答申)」では、引き続き検討が必要な課題が示されている。また、近年、解体工事前の調査時の石油含有建材の見落としや、除去作業時の石綿含有建材の取り残しといった不適切な事例が確認されており、28年には、総務省による行政評価・監視結果に基づく勧告で、こうした課題が指摘されている。
答申案では、特定建築材料以外の石綿含有建材の除去等作業の際の石綿飛散防止、事前調査の信頼性の確保、石綿含有建材の除去等作業が適切に行われたことの確認、特定粉塵排出等作業中の石綿漏えいの有無の確認、作業基準順守法の強化を提言。
特定建築材料以外の石綿含有建材の除去等作業の際の石綿飛散防止では、いわゆるレベル3建材について、除去等作業時に適切に石綿の飛散を防止するため、同建材も特定建築材料に追加し、作業基準の策定、事前調査の実施等、法の規制の対象とするよう求めた。
事前調査の信頼性の確保では、事前調査の方法を法令で定め、一定の知見を有する者が調査を行うことや、都道府県等が適切に調査が行われた確認するため、受注者は調査の記録を保存することとしている。
また、都道府県等が解体等工事の現場を幅広く把握するため、労働安全衛生法と共通の電子システムにより、石綿含有建材の有無にかかわらず、受注者は一定規模等以上の工事の調査結果を報告することとしている。
石綿含有建材の除去等作業が適切に行われたことの確認では、一定の知見を有する者が取り残しがないことの確認を行うよう提言。また、都道府県等や発注者が適切に除去等作業が行われたことを確認するため、受注者は作業の記録を保存し、発注者に作業結果の報告を行うこととしている。
特定粉塵排出等作業中の石綿漏えい有無の確認では、集じん・排気装置の排気口における粉塵の測定の頻度及び作業場所における負圧の状況の確認の頻度を増やすよう求めている。
作業基準順守の強化では、立法技術上の課題も踏まえつつ、作業基準違反へ直接閥の創設を検討することとしている。
答申ではこのほか、災害時における石綿の飛散防止を推進するため、国や都道府県等は、所有者等による通常使用時からの建築物等への石綿含有建材の使用の把握を後押しすること等に努めるよう求めた。
また、国が、業界団体等と連携し、発注者、受注者、建築物等の所有者等に対する更なる普及啓発に努めることを提言した。