政府がマイナンバーカードを介護保険証として利用できるようにする計画の具体化に着手することが分かった。利便性を高めてマイナンバーカードの普及の加速につなげたい思惑がある。
高市早苗総務相が今月14日の会見で認めた。「マイナンバーカードの使い勝手をいかに良くしていくかが何より大切」と説明。「厳格な本人確認や資格確認を可能とするマイナンバーカードは、安全・安心なデジタル社会の基盤となる。利活用を促進していきたい」と述べた。
現場でどのような使い方、運用をしていくのか、厚生労働省を中心に詳しい検討を今年から始める。来年度中にも大枠の方向性を固め、保険者など関係者との間でコンセンサスを作りたいという。必要なシステム開発などを経て、2023年度には本格的な運用までこぎ着ける方針だ。
マイナンバーカードは行政サービスなどの効率を飛躍的に高めるポテンシャルを秘めているが、現在の普及率はおよそ15%。当初の想定よりうまく浸透しておらず、政府は打開策を検討してきていた。
既に健康保険証との統合を可能とすることも決定済み。今年からシステム開発や導入準備を進め、2021年3月から本格運用をスタートさせるプランを描いている。2023年3月には概ね全ての医療機関でマイナンバーカードを使えるようにする、という目標の達成を目指す。
加えて介護保険証も一本化できる環境を用意し、マイナンバーカードの機能をさらに充実させる構想。政府はこのほか、生活保護の医療扶助を受ける際の「医療券」などをマイナンバーカードに変えられるようにする意向も示している。