福島県の郡山市とNTTデータ東北が、要介護認定の作業の一部を人工知能(AI)に任せる全国初の試みを始める。4日に実証実験の開始に向けた協定を結んだ。
認定調査票の確認をAIに担わせてみる。現場の負担軽減や認定の精度向上につなげる狙い。実証実験の結果を来年1月にもまとめたうえで、本格的に導入できないか検討していくという。
要介護認定の過程では、市町村の職員や委託された事業所のケアマネらが申請者の自宅を訪問。心身の状態などを調査票や特記事項にまとめ、要介護度の判定に活かす材料とする。
郡山市らは今回、調査票の選択内容と特記事項の整合性をチェックする作業に着目した。これは適切な認定をするうえで重要なステップだ。現在はどこも人の目で行っており相応の時間がかかっている。
実証実験では過去の調査票や認定結果を学習させたAIを使う。誤認定の防止や省力化に役立てられるか確かめるという。
郡山市の要介護認定の申請件数は昨年度で1万4969件。ニーズの拡大に伴い現場の負担が増し、結果が出るまでにかかる日数が長期化している。
これは全国的な課題だ。高齢化に伴い申請は今後さらに増える見通しで、認定の質の担保と効率化をいかに両立していくかが厳しく問われている。
厚生労働省も認定審査会を簡素化するなど施策を講じているが、まだまだ必要な日数の短縮は実現できていない。今後の具体策として、更新認定の有効期間の延長や調査員の要件緩和を実施する方向で調整しているが、関係者からはテクノロジを駆使した抜本的な改善の必要性を指摘する声も出ている。