名古屋市立大学などの研究グループが5日、アルツハイマー病の早期診断を可能とする新たな検査の手法を発見したと発表した。研究成果は、米国科学誌「Journal of Alzheimerʼs Disease(ジャーナル・オブ・アルツハイマー・ディジーズ)」に掲載された。
1滴の血液だけで結果が分かるようになる可能性があるという。今後も研究を重ね、簡単、安全、安価な診断法の確立や有効な治療薬の開発に結びつけたいとしている。
近年の研究により、アルツハイマー病の患者の脳内には、20年以上かけてアミロイドβ(Aβ)と呼ばれるタンパク質が蓄積することが明らかにされてきた。発症後では治療の効果が出にくいことも判明しており、Aβの蓄積が進む前に対応することが課題となっている。
研究グループは「フロチリン」という体内のたんぱく質に着目。その挙動を詳しく分析したところ、アルツハイマー病を発症した人は一般の人より著しく低下することを見つけた。軽度認知障害(MCI)の人でも、Aβが蓄積している人とそうでない人では有意な差があったとしている。
フロチリンは血液1滴でも検出可能。今後精度が高まっていけば、アルツハイマー病と他の認知症、うつ病などを判別することもできるようになるという。患者がより適切な治療を受けられるようになる可能性がある。
Aβの蓄積を調べる方法は現在、陽電子放出断層撮影(PET)による画像診断や髄液の採取などが一般的。しかし、費用が高かったり患者への負担が大きかったりすることから、代替法の確立が期待されている。