スズキとNTTコミュニケーションズ(NTT Com)は2日、ハンドル形の電動車いす「セニアカー」に乗る高齢者をIoTで見守る実証実験を行うと発表した。移動中の状態をリアルタイムで確認することにより、安全性の向上につなげていく構想だ。
実験では「セニアカー」にGPSやセンサーなどを搭載。計測した位置情報や傾きデータなどをNTT Comのクラウドに集めていく。
転倒などで異常が生じた場合は、予め登録された利用者の家族へメールで速やかに知らせる。センサーや通知の動作チェックのほか、サービスの使い勝手も検証していく。
期間は10月末までを想定。ゆくゆくは収集するデータに加速度情報なども加える計画だ。例えば、登録エリアから離れたり異常な走行をしたりした場合に、遅滞なく検知・通知できるサービスとすることを検討しているという。
ハンドル形電動車いすは、障害者や高齢者の移動手段として普及が進んできている。「電動車いす安全普及協会」によると、昨年度の出荷台数は1万8763台だった。ちょっとした外出や買い物などに用いられるケースが多い。
一方で交通事故が社会問題となっている。警察庁の発表では、2016年に発生した事故は155件。亡くなった利用者は前年より2人多い9人にのぼっている。事故の多いタイミングは昼間。道路の横断中が半数以上を占めている。