コニカミノルタは7日、利用者データの有効活用による介護現場の「オペレーション変革」を後押しする「ケアディレクターサービス」の提供を始めたと発表した。特別養護老人ホームやグループホームなどを運営する社会福祉法人善光会と共同で開発したという。
このサービスでは、介護施設で収集できる様々なデータを多角的に解析して役立てる「ケアディレクター」を育成する。データの利活用を専門の「ケアディレクター」に任せ、介護職員にはより効率的できめ細かいケアの実践に専念してもらう。ICTを介護現場へ深く浸透させ、サービスの質の向上と業務の効率化、負担の軽減につなげるイノベーションの実現を目指す。
コニカミノルタはこれまで、居室の天井に備え付けた行動分析センサーで起床、離床、転倒、転落といった利用者の行動を認識し、介護職員のスマホなどへシェアする「ケアサポートソリューション」を展開してきた。主に施設への導入を図っており、転倒事故が起きた時にエビデンス映像を自動で記録する機能や、必要なケア記録を簡単に入力できる機能なども備えている。
今回開始される「ケアディレクターサービス」は、介護職員を、こうしたセンサーから得られる様々なデータやケア記録などを総合的に解析して特徴を掴み、有用なケア情報として提供するスキルを持つ「ケアディレクター」として育てるもの。その手法は大きく分けて、
○「ケアディレクター」に必要なスキルの修得を支援する教育プログラム「ティーチング」
○ コニカミノルタの専属コーチが約2ヵ月間施設に訪問し、データ活用の可能な組織・ルールの構築、データを活用した改善策の策定・定着の教育などを行う「コーチング」
○ コーチング終了後、遠隔から現場のデータを分析し、モニタリング、レポート、アドバイスを行う「リモートサポート」
‐という3つの柱で構成されている。
「介護職員のルールに基づく主体的な判断が可能となる。最適なスタッフが、最適なタイミングで、最適なケアを行える」。
新サービスの効果をコニカミノルタはそう見込んでいる。
例えば業務負担が重くなる夜間。入居者の睡眠の特徴や状態などに関するデータを用いることで、覚醒の的確なタイミングで居室でのケアに入ったり、不要な巡回を減らしたりすることが可能になると想定している。
人手不足が加速して「現場革新」が重要な課題となっている介護業界だが、ICTに不慣れな職員が多いこともあってスムーズに進んでいない。そこでコニカミノルタは「データを活用する業務を『ケアディレクター』に任せることで、現場へのICT実装が可能となる」としている。