文部科学省と厚生労働省は、地域の医師確保の観点からの令和2年度医学部入学定員の増加方針を都道府県に通知した。
地域における医師不足の解消が喫緊の課題となっていることから、早急に対応するため、昨年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2018」を踏まえ、認可申請期限の特例を設けることとしたもの。
地域の医師確保の入学定員増
地域の医師確保のため、地域の病院、診療所に将来勤務しようとする学生に対する修学資金を都道府県が貸与しようとする入学定員の増員について、原則として、平成31年度までに認可を受けた各大学から、認可を受けた臨時的な定員数を上限として再度の増員申請を認める。
ただし、原則として医学部定員の増員が認められていない中、特例として臨時的な増員を認めるという地域枠の趣旨に鑑み、平成30年度・31年度の2年間を通じて臨時的な定員の増員分に見合う数の修学資金の貸与を受けた地域枠の学生を確保できていない場合には、平成31年度までに許可を受けた臨時的な定員数から2年間を通じて地域枠の学生を確保できていない定員数を減じた数を上限として、再度の増員申請を認める。
研究医養成の入学定員増
基礎医学及び社会医学に関する研究医養成拠点として相応しい実績を有しており、かつ、教育研究に係る共同利用拠点等の優れた教育研究資源を活かして、複数大学の連携により社会的要請の強い研究医養成拠点を形成しようとする大学であって、研究医養成の観点から学部・大学院教育を一貫して見通した特別コース及び研究医定着のための奨学金を設ける大学の入学定員について、原則として、平成31年度までに認可を受けた各大学から、認可を受けた臨時的な定員数を上限として再度の増員申請を認める。
「研究医養成拠点として相応しい実績」を満たす要素は、卒業生の基礎医学及び社会医学分野の大学院への過去3年間の進学実績の平均が増員数の倍以上であることなど、継続的に大学院生を輩出してきた客観的な実績大学が大学より説明することが求められる。
また、「特別コース」については、1)の入試枠を設けて基礎医学及び社会医学に関する研究意欲の高い入学者の選抜を行う、2)学生が研究活動を実施するために必要となる研究費について予算措置がなされる、3)学生が研究成果を発表できるよう学会発表、論文発表の機会が設けられており、指導に必要な体制が構築される、3)研究医となった際の常勤ポストを確保、4)海外での研修の機会が1か月以上付与される―など研究医養成に関する有効性が高い取組であることが必要としている。
歯学部入学定員の削減を行う大学の特例
医・歯学部を併せ有する大学については、原則として、平成31年度までに歯学部入学定員を減員することにより臨時的な定員増の認可を受けた各大学から、認可を受けた臨時的な定員数を上限として、再度の増員申請を認める。