兵庫県加古川市は5日、複数の大手企業と連携して、認知症の前段階にあたるMCI(軽度認知障害)を早期に発見する仕組みの開発に向けた実証実験を始めると発表した。
見守りカメラやセンサーなどを使って得られる多くの情報をAIで分析。日常生活とMCIとの関連性を詳しく探っていく。徘徊による行方不明の防止や介護予防に有効なサービスの開発などにつなげたい考えだ。
実証実験はNTT西日本、ALSOK、ジョージ・アンド・ショーンとともに行う。市内の高齢者およそ200人の協力を得て、概ね半年に1度のペースで認知機能の変化をチェック。ベッドや家電にセンサーを取り付け、日々の行動や睡眠についての情報も蓄積していく。
加古川市が以前から整備を進めてきた見守りシステムも活用する。ジョージ・アンド・ショーンが展開する500円玉ほどの大きさのビーコンデバイスを協力者に配り、市内の約1500台のカメラで位置情報を収集していく。こうしたデータをAIに与えてMCIの傾向と対策を見出す計画だ。
実証実験の期間は今月から2021年3月までの約1年半を想定。参加者には謝礼を出し、半年ごとに実施するMCIテストの結果も提供する。加古川市は「健康増進に寄与するスマートシティの実現を目指す。新たなサービスで社会保障費の適正化にもつなげられれば」としている。