厚生労働省はこのたび、昨年の8月1日時点で非常用電源を設置している6754施設の病院のうち、8.3%にあたる563施設が点検を行っていなかったと報告した。今年6月時点の状況調査を追加で行ったところ、このうちの37.7%はいまだに点検作業に取り組んでいないことも発覚している。
調査は昨年の8月から9月にかけて8392施設を対象にアンケートで実施し、このうち7267施設から有効な回答を得た。それによると、電気事業法に基づく非常用電源を備えている病院は6754施設(92.9%)、未設置だったのは513施設(7.1%)だった。設備の有る施設に、点検作業を行っているか質問したところ、6191施設(91.7%)が実施済みだと答えている。
また、行っていなかった563施設に今年6月1日時点の点検状況を追加で尋ねたところ、202施設(62.3%)が「実施済み」と答えた一方、122施設(37.7施設)が「未だに行っていない」と答えた。その理由では、「患者の継続的な医療提供のため実施の調整が困難」(65.5%)や「委託者と作業実施の日程が合わなかった」(21.3%)が多かった。
病院の非常用電源をめぐっては、昨年発生した大阪北部地震の際に、国立循環器病研究センターで何らかの異常により非常用電源が使えず、一時的な停電が発生。同センターで確認したところ、法律で定められた保安検査を少なくとも5年以上行っていなかったことが判明した。これらを踏まえ、厚労省は全病院を対象とする非常用電源の確保や点検状況に関する調査を初めて行った。
■ 消防法では3.5% 建築基準法では3.0%が未実施
アンケートではそのほか、消防法と建築基準法に基づく点検状況も調査。前者は6779施設、後者は6788施設から有効な回答を得ている。このうち消防法については、226施設(3.5%)が未実施と回答したうえ、1年を経ても19施設は点検を行っていなかった。
建築基準法では、301施設(7.3%)が未実施と回答。1年後も24施設が点検していない。理由は電気事業法と同じく、「患者の継続的な医療提供のため実施の調整が困難」や「委託者と作業実施の日程が合わなかった」が多い。