厚生労働省は7月17日、観光庁と連携してまとめた「外国人患者を受け入れる医療機関の情報を取りまとめたリスト」をホームページで公表した。
外国人患者の受け入れをめぐっては、医療機関のリストを様々な機関が作っていたものの、受け入れの態勢に差があることや一元管理されていないことなどが問題視されていた。
厚労省が今回示したリストは、観光庁が以前に作成したものを基に、都道府県が適格と思われる医療機関をピックアップしてまとめたもの。適格性が不十分だと認識された医療機関については、双方の合意を踏まえて削除している。
内容には、重症と軽症の2種類の患者の受け入れについて、地域で活動する医療や通訳、観光業といった関連団体が協議・選定したものを盛り込んだ。掲載情報は、都道府県や医療機関名、住所、連絡先はもちろん、受け付け時間や対応可能な診療科と外国語、利用可能な金融サービスなど、充実したラインナップとなっている。
リストではさらに、外国人患者の受け入れにあたって拠点的な役割を果たす医療機関を明示。入院が必要な救急患者に対応可能な医療機関を「カテゴリー1」、診療所・歯科診療所も含む医療機関を「カテゴリー2」として表記。外国人患者が利用するだけでなく、医療機関が対応できない外国人患者を別の医療機関に紹介する際にも活用することが考えられている。
今回の内容は今年の5月末に締め切られた調査結果が基となっているもの。今後は9月末に締め切る調査内容を皮切りに、情報を随時更新していく方針だ。
また、リストは訪日外国人向けに英語・繁体字・簡体字・韓国語などへ多言語化し、日本政府観光局(JNTO)ホームページで公開する予定。
政府は観光立国を推進する中で「訪日外国人に対する適切な医療等の確保に向けた総合対策」を取りまとめ、日本を訪れる旅行者に医療が必要となる場合に備え、安心・安全に医療を受けられる環境の整備に取り組んできた。同時に、増加する在留外国人についても、「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」が取りまとめられ、全ての居住圏において外国人患者が安心して受診できる体制の整備を進めている。