法人向け産業保健支援サービス「first call」などを展開するメドピア株式会社はこのたび、産業医を対象とした「従業員のメンタル不調」に関するアンケート調査の結果を公表した。複数回答で原因をみると、最も多かったのは、「職場の人間関係」が404件で、中でも上司との関係性が74%を占めた。
調査は今年6月、インターネットを通じて、医師専用コミュニティサイト「MedPeer」に登録している産業医500人に対して行った。
メンタル不調の最大の原因である「人間関係」の事例では、
・ある企業で支店ごとの面談を実施した際に、特定の支店のみストレス過多の職員が多く、人間関係が悪いのが雰囲気から読み取れた
・上司からメールの返信がないこと。新人で採用されたが、判りやすく教えてくれない状況が続き、鬱になり、精神科を受診して1カ月休職になったケースがあった。薬物治療し、他の部門(人間関係良好)で現在は生き生きと勤務している
・目標を上司と十分に相談のうえで設定しているはずだが、本人の見込み違いなのか、上司の期待に応えようとしてなのかはわからないが、無理をしているように感じることがある
・仕事の量が管理職になるほど高くなるのに対して、やりがいや賃金が伸びてないのが、よく見受けられます
‐といったケースが報告された。そのほかに原因で多かったのは、「長時間労働・業務過多」(236件)、「パワハラ」(161件)、「仕事の難易度、能力・スキル不足」(126件)、「目標達成へのプレッシャー」(79件)などだった。
■ 遅刻・欠勤の増加がサイン
同じく複数回答で「従業員のメンタル不調のサインは?」と尋ねたところ、トップは「遅刻や欠勤が増える」で252件、それに「表情が暗くなる」の250件、「ミスが増えたり、作業効率が落ちたりする」の216件が続いた。具体的なサインの例では、
・裁量労働でも、出社が遅くなる時は危険信号。離席が多い人も
・突発の休み、特に月曜日の休みが多くなる
・あきらかに覇気がなくなり、不眠のためか疲れている感じがよく表情にでる
・いっぱいいっぱいで顔が硬くなる
・ミスが増えて、自責的となる
・睡眠不足で、遅刻、ミスが顕著になる
‐などがあげられている。
■ 復職には職場の理解が重要
さらに、早期発見に向けて経営者や人事部が取り組むべき対策では、「従業員との日常的な会話」(78件)、「定期的な面談」(72件)などが多くあがった。また、メンタル不調での休職から復職した際、成否を分けるポイントとしては、「職場(上司や同僚)による理解やフォローの有無」(344件)が2位の「配置転換(異動)」(155件)にダブルスコアを付ける圧倒的な差を示した。