陰湿、執拗な「犯罪行為」といっても過言でないような学校でのいじめが全国いたるところで発生し、時に悲惨な結果を招いている。
文部科学省では、いじめ事案に関する学校と警察の連携について、学校から警察へ適切に相談・通報し、警察と連携した対応を図るよう全国の教育委員会などに要請している。
政府全体でもいじめ問題を深刻に受け止め、警察庁においても都道府県警察などに対して、平成25年から施行されているいじめ防止対策推進法の趣旨や法に規定された警察の役割について改めて認識するとともに、学校などとの緊密な関係を構築するなどして、学校におけるいじめ問題への的確な対応を推進することなどを示している。
日頃からの情報共有が重要
警察との連携強化によるいじめ事案の早期把握について文科省は、犯罪行為と取り扱われるべきと認められる場合の警察への早期の相談・通報や特にいじめられている児童生徒の身体・生命に懸念のある重大ないじめ事案がある場合の速やかな警察への通報に当たっては、学校や教委と警察が日頃から緊密に情報共有できる体制の構築が重要だと指摘。
具体的には、1)警察との間で連絡窓口となる担当職員を指定しておく、2)学校警察連絡協議会の場で認識の共有を図り、判断に迷うような場合も積極的に相談することをあらかじめ申し入れておく、3)学校や教委と警察との相互連絡協定などに、犯罪行為として取り扱われるべきと認められるいじめ事案を盛り込む、4)警察に配置されているスクールサポーターによる学校訪問や校内巡回を求めるなど、積極的な受入れを図る―としている。
また、警察と連携したいじめ事案への適確な対応として、①重大ないじめ事案等への対応、②いじめられている児童生徒や保護者が犯罪行為として取り扱うことを求めるいじめ事案への対応、③いじめを受けた児童生徒に対する支援を要請している。
匿名性の高いネット事案 でも適切に対応を
その中では、重大ないじめ事案や発展するおそれが高い事案については、直ちに警察に通報し、深刻化の防止を図る。インターネットを利用した事案についても、匿名性が高く、拡散しやすいことを踏まえ、警察と連携し適切に対応するよう求めている。
警察では、被害を受けた子どもや保護者が犯罪行為として取り扱うことを求めない事案を把握した場合には、同意を得て、学校や教委に連絡することとしているが、こうした事案については、必要に応じて、警察に対し、加害児童生徒への注意・説諭、加害児童生徒に指導する際の助言、いじめ防止を主眼とした非行防止教室の開催といた協力を求め、対応状況や事案の経過について引き続き連絡するなど、緊密に連携することとしている。
いじめを受けた児童生徒への支援については、心のケアのため、特に必要と認められる場合には、学校に配置されているスクールカウンセラーと警察のスクールサポーターが連携することで、より効果的なケアが行われるよう努めるよう求めている。