2019年5月9日 災害に強い日本実現へ連携 防災科研とセブンイレブンが協定を締結

国立研究開発法人防災科学技術研究所と(株)セブン‐イレブン・ジャパン、(株)セブン銀行は、4月16日、災害発生時に社会インフラの一翼を担うコンビニエンスストアの営業の継続による災害復旧と、自然災害に強い地域社会の実現に貢献することを目的とした連携協力に関する協定を締結した。

この協定に基づく三者共同で行う最初の事業として、セブン銀行のATMに地震計を設置し、データの共有を行う。これにより、災害全般の状況の把握と災害レジリエンス強化に資する仕組み作りを目指す。今後、「災害に強い日本」の実現に向け、各々のノウハウ・インフラ・技術について連携協力を進める。

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防災科研は、防災科学技術に関する基礎研究及び基盤的研究開発などの業務を総合的に実施する国立研究開発法人として、国民の安全・安心につながる研究開発を行っている。

平成29年6月には、首都直下地震などの災害にそなえ、首都圏を中心としたレジリエンス総合力向上プロジェクトにおいてデータ利活用協議会を設置し、大学などの研究者や賛同する企業・組織とともに官民一体の総合的な事業継続や災害対応、個人の防災行動などに資するデータの収集・整備を行っている。

セブン‐イレブンは、各自治体と協力して、大規模災害が発生した場合に必要な物資を被災地の人々に提供するための体制を整えている。また、今年3月末現在40都道府県の店舗で「災害時帰宅支援ステーション」として登録しているほか、災害時の支援協定を結んでいる各自治体と物資供給の訓練を実施している。大きな災害が発生した時には、募金活動を通して被災地を支援している。

防災科研とセブン‐イレブンは災害発生時の事業継続と、気象災害に強い地域社会の実現に貢献するために、平成28年9月1日に連携協定を締結しているが、それを基に、さらに地震災害も含めた取組みを強化するために(株)セブン銀行を含めた三者で連携協定を締結することとなった。

三者合同で行う事業として、セブン銀行のATMに防災科研が開発した小型地震計を設置し、得られたデータを三者で共有することによって災害全般の状況の把握と災害レジリエンス強化につながる仕組み作りを目指す。まずは、実証実験から開始し、年度内に数十の地震計を設置した上で、今後の展開を図かる。

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 《首都圏レジリエンスプロジェクトの背景》

わが国は世界でも有数の地震大国であり、これまでに幾度となく甚大な物理的・人的・経済的被害をうけてきた。特に、過去に甚大な被害をもたらしてきた首都直下地震や南海トラフ地震については、地震調査研究推進本部地震調査委員会の長期評価によれば、今後30年以内の地震発生確率はどちらも70%程度であり、その切迫性が高まっている。

2015年5月に発生した小笠原諸島西方沖地震では、大きな被害こそ発生しなかったものの、首都圏における約2万機のエレベータの停止、交通機関の乱れ、ライフラインの一時停止等が生じ、事業の中断や経済機会損失にもつながっており、このように比較的頻度の高い中規模地震への備えの充実も決して看過することができない。

特に、都市機能、人口が集中し、社会経済活動の中枢でありわが国の頭脳となっている首都圏においては、災害に対する脆弱性を内在していることから、首都機能の維持を図るため、詳細に災害リスクを評価するとともに発災に備えた対策を施しておくことは、これまでにも増して重要かつ喫緊の課題となっている。


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