日本公庫農林水産事業は、2019年1月の消費者動向調査で実施した「食品ロス」に関する意識調査の結果を公表した。調査は全国の20歳代から70歳代の男女各1000人の計2000人を対象にインターネットによるアンケートで行われたが、「食品ロス削減に取り組んでいる」との回答が約半数となった。また、食品ロス削減に取り組む食品店・飲食店を意識的に利用する旨の回答が7割を超え、食品ロス削減への取り組みが消費者から選ばれるために必要な条件となる可能性を示唆する結果となった。
食品ロス削減へ取り組む理由「もったいないから」が最多
「食品ロス」は、食べられるのに捨てられてしまう食品をいう。日本では年間約646万トンの食品ロスが生じているとされ、食料問題や環境問題の観点から食品ロス削減に向けた取り組みが求められている。
今回の調査では、この食品ロスについて、削減への取組状況が聞かれたが「取り組んでいる」との回答割合が49.8%とほぼ半数となっており、次いで37.4%が「取り組みを知っているが取り組んでいない」、12.9%が「取り組みがあることを知らない」と答えている。
「食品ロス削減に取り組んでいる」との回答を年代別にみると、30代以降は年代が上がるにつれて「取り組んでいる」割合が高くなることが分かった。
また、食品ロス削減へ取り組む理由については、「もったいないから」との回答割合が81.3%、「環境に良いから」が44.5%、「食費が節約できるから」が40.6%となっており、「もったいないから」が他の理由の約2倍の水準となり、最多の回答となった。
食品ロス削減につながる行動 7割強が買い物前の冷蔵庫を確認
食品ロス削減につながる行動として、食品を購入する前に冷蔵庫の食材の有無と期限表示を確認することや、スーパーなどで食品を購入する際に棚の前から商品を取ることで小売店からの廃棄を少なくすることなどが推奨されている。
この点に関し、今回の調査では実際に食品を購入する前に冷蔵庫・冷凍庫を確認するかが質問されたが、「必ず確認する」との回答割合が19.6%、「だいたい確認する」が52.4%となり、合わせて7割強の人が食品購入前に冷蔵庫・冷凍庫を確認することが概ね慣習化されていることが伺える結果となった。
また、食品を購入する際の棚からの商品の取り方を聞いたところ、「棚の手前から取る」との回答は2割を下回った。
食品店・飲食店は食品ロス削減への取り組みで差別化が図れる
食品ロス削減に取り組む食品店・飲食店の評価について聞く設問では、「大いに評価する」との回答割合が22.5%、「評価する」が44.9%、「少しは評価する」が21.5%となり、これらを合わせた9割近くが食品ロスの削減に取り組む食品店・飲食店を肯定的に捉えていることが伺える。
また、食品ロス削減に取り組む食品店・飲食店の利用について聞いたところ、回答割合は、「かなり遠くても積極的に利用する」が2.9%、「多少遠くても積極的に利用する」が13.4%、「近隣にあれば積極的に利用する」が55.4%となった。これらを合わせた7割強が食品ロス削減に取り組む食品店・飲食店を積極的に利用すると回答しており、食品ロス削減への取り組みが消費者から選ばれるために必要な条件となる可能性が見られる。
食品ロス削減に向けて食品店・飲食店に期待することについては、いずれも「少人数向け・小サイズの商品メニューが用意されている」といった趣旨の選択肢が最多回答となっており、消費者は使い切れる、食べきれる商品を期待していることが伺える結果となった。