林野庁は3月1日から7日にかけ、「2019年全国山火事予防運動」を実施する。今回の統一標語は「忘れない 豊かな森と 火の怖さ」。これを踏まえ、広く山火事予防の意識を啓発していくとしている。
例年、冬から春にかけて、山では枯葉や枯草が多くなることに加え、空気の乾燥や季節風、あるいはフェーン現象などの気象条件等から、山火事発生の危険性が高い時期となる。
山火事は、一旦発生するとその消火は容易ではなく、一瞬にして貴重な森林を焼失するとともに、その回復には長い年月と多くの労力を要することとなる。
これから暖かくなるにつれ、山に入る機会も多くなるが、特に、空気が乾いている日や風が強い日にはたき火や野焼きをしないなど、火の取扱いには十分に注意する必要がある。
広く山火事予防意識を啓発 森林の保全と地域の安全に貢献
「全国山火事予防運動」は、広く国民に山火事予防意識の啓発を図るとともに、予防対策を強化し、森林の保全と地域の安全に資することを目的としたもの。
2019年の取り組みでは、「忘れない 豊かな森と 火の怖さ」との統一標語の下、消防庁等が実施する春季全国火災予防運動と同一期間の3月1日から3月7日にかけて全国的な啓発活動など運動を進めていくこととしている。また、地域における山火事発生状況等を考慮した効果的な運動の推進を図るため、この期間以外の期間を山火事予防運動の実施期間とすることも考えられている。
山火事予防に効果的と 考えられる実施項目
期間中は、ハイカー等の入山者、森林所有者、林内・森林周辺の農地・作業現場の作業者、地域住民、小中学校の児童・生徒等を対象に、▽枯れ草等のある火災が起こりやすい場所ではたき火をしないこと ▽たき火等火気の使用中はその場を離れず、使用後は完全に消火すること ▽強風時や乾燥時には、たき火、火入れをしないこと ▽火入れを行う際は市町村長の許可を必ず受けるとともに、あらかじめ必要な防火設備をすること ▽たばこは指定された場所で喫煙し、吸いがらは必ず消すとともに、投げ捨てないこと ▽児童等による火遊びはさせないこと ― といった重点事項の啓発活動を実施するとしている。
また、駅、市町村の庁舎、学校、登山口等への警報旗、山火事予防ポスター等の掲示やテレビ、ラジオ、有線放送、新聞、インターネット等の各種広報媒体の活用等により、入山者、地域住民等に対し山火事予防意識の高揚を図っていくとしている。
さらに、火災警報発令中など、火災の発生しやすい時期には、関係機関が協力して、住宅地等に近接する森林での重点的な森林パトロールを実施するなど森林の保全管理体制の強化を図ることにより、火災の未然防止、早期発見に努めるとしている。
森林または森林に近接している土地における火災の予防の面では、農林業関係者等と消防関係者等との密接な連携の下に、初期消火を中心とする消防訓練、研修会、予防・消火資機材等の適切な点検・管理等を実施し、地域の実情に即した予防対策を計画的に講ずるよう努めるとしている。
このほか、地域住民、農林業関係者等による山火事予防組織の育成強化を図るとともに、これらの組織が女性(婦人)防火クラブ等のいわゆる民間防火組織と連携を図り、予防活動を行うよう要請するとしている。