2019年2月21日 大都市圏の定員抑制、4割が「反対」 『18歳調査』 理由は「希望大学に入れないから」

地方創生の一環として大都市圏の大学入学定員抑制が求められていることに対して、ハイティーン(18歳)の4割以上が反対していることが、日本財団の調査で明らかとなった。理由は「入りたい大学に入れない」から。

調査は17歳から19歳を対象に実施。①地方大学の地域への貢献、②大都市圏大学の定員の厳格化、③グローバル社会で活躍できる人材育成―など多岐にわたり意見を聞いた。

 

地方創生への貢献、賛否拮抗

地域創生が進められるなかで、地方大学は地域への貢献が求められていることを踏まえ、「今の日本の地方大学は地域社会に貢献できていると思うか」と質問。「はい」と答えたのは37.4%で、「いいえ」の36.1%とほぼ同数となるなど賛否の意見は拮抗している。「その他」は26.5%だった。

地域社会に貢献できていると回答した理由について、自由回答で聞いた。「大学があるだけで若者が集まり、経済効果も生まれる」「ボランティア活動を行っている」「地元の資源や特産を活かした研究をしている」という内容が多かった。

一方で、貢献できていないと答えた人は、「あまり地域貢献に役立ったということを聞かない」「大学生活をしていて貢献している自覚がない」「何をしているかわからない」「地域社会に貢献できているところを見たことや聞いたことがない」と、大学の貢献を実感として感じていない現状が浮き彫りとなった。

また、「どの大学を出ても、結局都心で就職しようとし、また、いい人材は都心に集められてしまう」「学生は地方より都会に流れ出て就職する傾向がある」と、学生が卒業後に大学所在地域に残らないことも、地域貢献ができていない一因としてあがった。

「その他」との回答は、「よくわからない」というもののほか、「貢献できている大学もあれば、そうでない大学もある」「地域によったり、もしくは学科によって貢献できているものと、できていないものに分かれる」といったことを理由としている。

 

地方大学の価値高めるべき

地方大学の定員確保や地方創生の一環として、私立大学の定員の厳格化が求められている。このため、大都市圏の私立大学に進学できる学生数が減るとの見方があることについては、41.0%が「反対」の意を表明。一方で、「賛成」は29.4%、「その他」は29.6%となった。

反対の理由としては「入りたい大学に入れない」「進学したい学生の気持ちを考えていない」という意見が多い。また、地方創生のため大都市私立大学の定員を減らすという考えではなく、「地方大学の価値を高めるべき」などの声もみられた。

賛成の理由では、「大都市の私立大学に進学できなかった人は地方に来る可能性があるため、若い人が増えれば地方の活性化につながる」「東京への一極集中が妨げる」という意見や、少子化の中でも大学の定員が減ることで「学生のレベルが上がる」「日本の学力向上につながる」という声も寄せられた。

 

「グローバル人材育成」約4割が評価

大学入試改革と関連して大学の役割として〝グローバル社会で活躍できる人材の育成〟が議論されていることから、グローバル社会で活躍できる人材の育成の場になっていると思うか聞いたところ、38.0%が肯定的な回答を行った。否定的な回答は37.6%だった。

肯定的な理由としては「グローバルに重きを置く大学が増えている」「英語に力を入れている大学が増えている」「海外留学制度が整った大学も増えている」など。反対に否定的な意見の理由としては「英語の教育方法が根本的に間違っている」などわが国英語教育に対する意見が多数を占めた。


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