サンフランシスコに拠点を置くアイオロス・ロボティクスが先月11日、仕事を支援するAI搭載の「アイオロス・ロボット」を日本でも展開していく計画を発表した。
ターゲットに選んだのは介護の現場。サービスの需要の拡大や人手不足の深刻化などを踏まえ市場の将来性を見込んだ。アレキサンダー・フアンCEOはプレゼンで、「施設での運搬や回収、片付けなど幅広い仕事をサポートできる。業務の効率化や負担の軽減につなげられる」と述べた。
既に国内で実用化に向けたテストを始めている。11日から販売代理店の募集を開始した。今年4月からサブスクリプションの予約を受け付け、8月にも提供を開始する予定。価格は月額15万円。
ヒト型の「アイオロス・ロボット」は自律走行が可能。カメラやセンサを通じて周囲の環境を学習し、そこに誰がいるか、何があるかを見分けられる。急に倒れた人がいるなど、異常を察知するとすぐアラートを出す。長い2本のアームはモノを持つ、拾う、置くことができ、ドアも開けられる。AIが学んだ情報はクラウドからロボット間で共有される。音声で指示を与えることも可能。
想定されている役割はいわゆる「介護助手」に近い。任せられる業務として、清掃、配膳・後片付け、ゴミ出し、荷物の運搬、洗濯物の集配、見守り、夜間のパトロールなどがあげられている。同社は高い性能をアピールしており、生産性の向上にどこまで貢献できるか、現場への普及を進められるかに注目が集まりそうだ。
この日の発表会で登壇した高齢者住宅経営者連絡協議会の森川悦明会長(オリックス・リビング取締役社長)は、「ロボットにパートナーとして支えてもらえば、介護職員は人が本来やるべきこと、専門性の高い仕事に専念できる。業務の効率化や負担軽減だけでなく、サービスの質の向上にもつなげられる」と説明。「新たな技術に非常に期待している。周辺の業務を支援するロボットの役割は、やがて高齢者住宅のオペレーションを形作っていく」と語った。